2009年3月17日(火)「しんぶん赤旗」

水不足

30年に世界人口の半数に

ユネスコ報告


 国連教育科学文化機関(ユネスコ)は十六日からトルコのイスタンブールで始まる第五回世界水フォーラムに報告を提出しました。「今日ほど水の需要が高まっている時はない」として、それに備えた緊急行動を国際社会に訴えています。報告は、水の需要増の原因として人口増加、生活水準の向上、食生活の変化、バイオ燃料の生産などを指摘。二〇三〇年までに世界の人口の47%が、水不足が激しい地域に居住するようになると警告しています。


各地で需要が高まる

人口増や食生活が変化

 ユネスコの松浦晃一郎事務局長は報告の発表で「(水不足で)数億人が貧困、健康不良に追い込まれ、水に起因する疾病や環境の悪化、さらには政治的不安定や紛争にさらされる」と語りました。

途上国でさらに

 現在の世界総人口六十六億人は二〇五〇年までにさらに二十五億人増加すると予測されますが、そのほとんどがすでに水不足となっている発展途上国に集中しています。

 報告によると、この人口増加に伴い淡水の需要は毎年六十四立方キロ(琵琶湖の貯水量の約二・三倍)の割合で増えていきます。中東のほとんどの地域で水資源はすでに限界に達しています。農村部から都市への人口の移動も水の消費を増やしています。

 報告はまた、新興国での食生活の変化による水不足を指摘。小麦一キロの生産に必要な水は八百―四千リットルですが、牛肉一キロには二千―一万六千リットルの水が必要です。報告は、一九八五年に一人当たり年間二十キロだった中国の食肉消費は〇九年には五十キロに増加したとし、これに伴う食肉生産に必要な水の消費が三百九十立方キロ増えたと指摘しています。

バイオ燃料でも

 また、地球温暖化・大気汚染防止として注目されているバイオ燃料では、原料のトウモロコシ、サトウキビの生産に大量の水が必要になると強調しました。報告によると、一リットルのバイオ燃料を生産するのに一千―四千リットルの水が必要とされます。世界各国で計画されているバイオ燃料生産計画がすべて実現すると、百八十立方キロのかんがい用水が必要となります。

 報告はユネスコなど二十余の国連機関が共同で作成。第一回が〇三年に日本で開催された第三回世界水フォーラムの際に刊行され、以後、三年ごとの同フォーラム開催に合わせて刊行されています。(夏目雅至)



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