2009年3月17日(火)「しんぶん赤旗」

1割負担の規定改廃

自立支援法改定で概要

厚労省


 厚生労働省は十六日、日本共産党の小池晃参院議員の要求に対し、現在検討中の障害者自立支援法「改正」案の「概要」を初めて明らかにしました。

 「概要」では、障害者から強い批判のある応益負担(サービス利用料の原則一割の定率負担)について、「規定を改め、利用者の負担能力に応じた負担を原則とする規定とする」としています。利用者の負担は、「家計の負担能力をしん酌して政令で定める額」としています。

 同時に、政令で定める新たな負担額が現行の一割負担の額を超える場合には、現行の負担額を適用するとしています。

 しかし、これまで政府は二度の軽減措置によって利用者の負担が「すでに応能的になっている」と説明してきおり、「応能負担」へ看板をかけかえるだけで、負担水準は実質的に現行と変わらない恐れがあります。

 関係者の強い批判により、もう一つの見直しの焦点だった、サービス提供事業者への報酬の「日払い制」については、現行を変えないものとなっています。

 これまで、「障害の状態を表す」としていた「障害程度区分」については、「心身の状態に応じて必要とされる標準的な支援の量」を示すものとし、名称も「障害支援区分」とするとしています。

 「障害者の範囲」については、発達障害者が自立支援法の対象に含まれることを明確化するとしています。


解説

看板かけかえで済ますな

 障害が重いほど負担が重くなる「応益負担」は、障害を自己責任ととらえるものです。これを、負担能力に応じた「応能負担」に改めることは、世論の強い批判と障害者・関係者の運動の反映といえます。

 しかし、自立支援法の施行前は、障害者の九割が無料でサービスを受けていました。自立支援法によって、利用料の定率負担のほかに、給食費も負担することになり、利用者に過重な負担となっています。

 本来、障害者が生きていくのに必要な最低限のサービスは無料であるべきです。現行の負担水準を変えず、看板だけ「応能負担」にすることで、お茶をにごすことは許されません。

 「障害程度区分」の見直しは、受けられるサービス量に上限を課すものとなる懸念があります。(西沢亨子)



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