2009年2月28日(土)「しんぶん赤旗」

畜産酪農経営の維持発展へ

共産党国会議員団 農水相に申し入れ

生産費補てん導入を


写真

(写真)申し入れをする(左から)赤嶺、(1人おいて)紙、高橋の各議員=27日、農水省

 日本共産党国会議員団は二十七日、「離農と経営の弱体化が進行している畜産酪農経営を維持発展させるための申し入れ(全文別項)」を、石破茂農林水産相に対して行いました。

 申し入れは、赤嶺政賢、高橋ちづ子両衆院議員と紙智子参院議員の三氏が行い、農水省の佐藤一雄生産局畜産部長が応対しました。

 申し入れでは、「日本の畜産酪農を発展させるためにも、再生産を補償できるような生産費補填(ほてん)の仕組みの導入等の経営安定対策の抜本的強化、国産飼料の増産対策などが急務」だと指摘。加工原料乳生産者補給金を大幅に引き上げることや、中長期的に畜産酪農経営を守るために、畜種ごとに必要な所得を確保することを目的とし、新たな価格制度の導入の検討を進めることなどを求めています。

 紙氏らは、「畜産・酪農の生産者はいつも弱い立場に立たされている。国が責任をもって配慮してほしい」と訴えました。

 佐藤部長は、「都府県酪農の経営が厳しくなっていることや、昨年の飼料価格の高騰が酪農経営に痛手を与えていることなどは共通認識だと思う」と述べた上で、「経営安定については諸対策を講じたので、その成果をみて決定していきたい」と答えました。


畜産酪農経営を維持発展させるための申し入れ

日本共産党国会議員団

 日本共産党国会議員団が二十七日、石破茂農水相に対して行った「離農と経営の弱体化が進行している畜産酪農経営を維持発展させるための申し入れ」の全文は次のとおりです。

 国際的な穀物価格の高騰により日本の畜産酪農経営は、大きな打撃を受け、その傷は極めて深い。都府県酪農を中心に酪農家の離農は、急速に進んだ。また、現在、経営を維持している酪農経営も負債の増大の中、導入牛の中止を選択せざるを得なくなるなど経営がぎりぎりのところまで追い込まれている。

 それは、今後の酪農生産の縮小に結びつくもので、この事態を放置すれば、国民への安定的な酪農製品の供給さえ困難になることは必至である。

 また、肉用牛経営も牛肉消費の低迷、枝肉価格下落の中で穀物価格高騰が直撃し、所得確保が出来(でき)ない状況に追い込まれ、ほとんどの経営が赤字経営となっている。この事態を放置すれば、国産牛肉の安定的供給に支障を来すことになりかねない。

 国際的な穀物価格は、下落状況にあるが、現在の酪農畜産経営の危機的な状況の打開は、一刻の猶予もないものであり、それを放置しては日本の食料自給率の向上など望むべくもないことは明らかである。

 日本の畜産酪農を発展させるためにも、再生産を補償できるような生産費補填(ほてん)の仕組みの導入等の経営安定対策の抜本的強化、国産飼料の増産対策などが急務である。ついては、左記の通り申し入れる。

 一、酪農経営を改善維持するために加工原料乳生産者補給金を大幅に引き上げ、限度数量も引き上げること。また、乳用メス牛導入の支援措置を実施すること。

 二、都府県で飲用乳向け酪農生産を行っている酪農経営に対しても生産を継続出来るような経営安定対策を導入すること。

 三、畜産経営を守るため、肉用牛肥育経営安定対策事業の補填割合を十割まで引き上げるとともに、肉用子牛生産者補給金制度の保証基準価格を引き上げること。養豚、鶏卵対策でも価格差補填事業を経営安定ができるように拡充強化すること。また、畜特資金の金利緩和措置を継続すること。

 四、中長期的に畜産酪農経営を守るために、畜種ごとに必要な所得を確保することを目的とする新たな価格制度の導入の検討をすすめること。

 五、配合飼料価格安定制度についても、生産者負担分に対する支援制度の創設など見直しを行うこと。

 六、飼料自給率を急速に引き上げるために耕作放棄地等での飼料米生産や飼料用米(醗酵飼料稲)生産促進の財政支援を強めること。また、草地林間放牧による酪農肉牛経営の展開等、日本の国土の有効活用による酪農・畜産生産政策を進めること。



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