2009年2月23日(月)「しんぶん赤旗」

ホンダ期間工切りの非情(4)

正社員登用を期待させ…


写真

(写真)期間工が暮らす寮の名札を見つめて「空き室が増え始めた」と語る男性=三重県鈴鹿市

 「頑張ればむくわれるからと言って、さんざん働かせたくせに…。今さら二カ月契約だからやめろだなんて都合が良すぎる」

 鈴鹿製作所(三重県鈴鹿市)の二十代男性は、正社員を目指していましたが今月二十二日に雇い止めになり、夢を断たれました。

 正社員を目指す期間工は多く、埼玉製作所(狭山市)の二十代前半の女性も「車が好きで、ホンダで働くのがあこがれだったのに」と肩を落とします。

 夢を抱いたのにはわけがあります。ホンダが期間工募集のホームページで「ヤル気を持って頑張る人には正規従業員への道も開ける制度」「年1〜2回応募するチャンス」などと宣伝して人集めをしてきたからです。

サービス残業

 冒頭の男性は、ホンダが正社員登用をエサに、期間工を正社員以上に製造現場で働かせていたと訴えます。男性の場合、タイムカードを押してから毎日一、二時間、違法なサービス残業をさせられていました。

 鈴鹿製作所では正社員登用を目指す若手期間工のサービス残業が横行。ホンダ本社はその存在を否定していますが、正社員の五十代男性は「正規登用されたければサービス残業をやれと期間工に言ってきた」と証言。「いまとなっては申し訳なくて顔向けができない」とうつむきます。

 年齢制限で正規登用の声がかからない三十歳以上の期間工も長期雇用を信じて働いてきました。埼玉製作所の五十代男性は、春に中学校に入る子どもの教育費や住宅ローンの返済のためにほかの仕事をやめて入社。「できるだけ長く働こうと心に決め、特にきつい仕事を文句も言わずやってきた」といいます。

内部留保増大

 手取り月二十万円で、必死に働いてきた期間工たち。ホンダはもうけを生み出す道具としてその数を増やし続け、製造現場の三人に一人は期間工になりました。同時に内部留保(ためこみ)は六兆円超にまで増大しました(グラフ)。たった0・3%で、削減される四千三百人全員の雇用を一年延長できるほどの額です。

 「ホンダの期間工切りは極めてあくどい」。JMIU(全日本金属情報機器労働組合)本部の三木陵一書記長は「本来なら期間の定めがない雇用とすべき労働者を、違法な短期契約で安く働かせてもうけをあげてきた。悩んでいる人はあきらめないで声をあげてほしい」と話しています。

グラフ

 二十二日現在、鈴鹿製作所、栃木製作所の期間工がJMIUに入り、ホンダに雇い止めの撤回を求めて団体交渉を申し入れました。日本共産党は今月九日、赤嶺政賢、塩川てつやの両衆院議員がホンダ本社(東京都港区)を訪ね、雇い止めの撤回を求めました。(おわり)(この連載は本田祐典が担当しました)



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