2009年2月23日(月)「しんぶん赤旗」

主張

不発弾処理

国は責任逃れに終始するな


 一月に沖縄県糸満市の老人ホーム裏で発生した不発弾爆発事故を受けて、沖縄県議会や糸満市議会など多くの市町村議会は、国の責任で不発弾処理を行うよう求める意見書を可決してきました。不発弾の危険は多かれ少なかれ、日本各地で起きている問題です。

 日本共産党の赤嶺政賢衆議院議員の質問主意書に対して政府がこのほどだした答弁書は、「地方公共団体においても責任を持つ」とのべています。相変わらず国の責任をあいまいにし、自治体任せに固執する政府の態度に批判が強まっています。

危険との隣り合わせ

 戦争が終わって六十年以上もたつというのに、米軍が空襲したり砲撃したりしたところで、国民がいまだに不発弾の危険と隣り合わせの生活を強いられているのは異常なことです。

 二〇〇六年度は本土で約三十・七トン、沖縄で三十・九トン、〇七年度も本土で十三トン、沖縄で二十三・二トンの不発弾が見つかり処理されました。沖縄が多いのは、数百万個ともいわれる爆弾・砲弾を米軍が撃ち込んだからです。二百五十キロ爆弾でも処理のさいには、場所によって、数千から一万を超える世帯を避難させなければならないほどです。それだけ危険度が大きいということです。

 二千三百トンもの爆弾が埋まったままといわれる沖縄は、とりわけ深刻です。

 不発弾の処理がこれほど遅れているのは、国が責任を果たしてこなかったからです。糸満市の爆発事故のあと、公共事業のなかで発見された不発弾を処理するさい、土のう積みにかかる自治体の費用を国の負担にするなどの措置を政府はとりましたが、根本的解決にはなりえません。マンション建設など民間工事で見つかる不発弾の処理費用は、国の支援対象からはずされているため自治体の自己負担です。こうした状況を放置したままでは不発弾処理が飛躍的に進むはずはありません。

 「いまのままだと不発弾をなくすには七十年も八十年もかかる」と沖縄の関係自治体は説明します。住民は長期にわたり危険と隣り合わせの生活を強いられます。憲法が保障した国民が平和のなかで生存する権利が脅かされているのに、自治体まかせに終始する政府の責任は重大です。

 不発弾問題は、戦前の天皇制政府がはじめた戦争の“つめあと”です。自治体や住民に責任を転嫁するのは本末転倒です。沖縄県民の声に押されて政府が新設する「沖縄県不発弾等対策安全基金」も、政府が全額をだすのではなく、沖縄県や企業や一般人からの協力を前提にしています。政府の責任逃れの態度に批判が相次いでいるのは当然です。

これ以上遅らせるな

 不発弾処理は急務です。糸満市での不発弾の爆発では二人が負傷し、爆風で特別老人ホームの窓ガラスが壊れました。過去にも、国道工事中に不爆弾が爆発し一人が負傷(三重県木曽岬町)、埋め立て工事中にブルドーザーが不発弾を踏み爆発、一人が負傷(沖縄県西原町)などの事故が起きています。大規模・急速な不発弾処理は待ったなしの課題です。

 不発弾処理は戦争原因者である政府が責任を負うべき問題です。政府の責任逃れは許されません。


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