2009年2月5日(木)「しんぶん赤旗」

主張

大量解雇

「政治災害」の犠牲根絶こそ


 「派遣切り」「期間工切り」で仕事も住まいも奪われ、路頭に迷う失業者の急増は、大きな社会問題です。これまでの不況期とも比較にならない急速な雇用破壊は、人間を「使い捨て」にする大企業の非道さとともに、財界いいなりに派遣労働を拡大してきた政府の責任を浮き彫りにしています。

 暮らしにこと欠く人びとへ支援の手を差し伸べるとともに、大企業の無法な解雇をやめさせ、「政治災害」の犠牲者を増やさないことが、いま切実に求められています。

大企業に「努力」の余地

 雇用破壊は「政治災害」だという認識と反省が必要ではないか―日本共産党の志位和夫委員長は衆院予算委員会の質問で、麻生太郎首相にずばりと切り込みました。

 衆院本会議での代表質問で志位委員長から同じようにただされても、麻生首相は明確に答えませんでした。政治の責任への真摯(しんし)な反省があってこそ、対応も真剣で本腰を入れたものになります。首相が重ねての質問にも明確な認識・反省を示さなかったのは、無責任のきわみというほかありません。

 麻生首相はそれでも志位委員長の追及に、大企業の大量解雇は「万策つきた上でのやむをえないもの」といえないことは認めざるをえませんでした。「雇用の余力がある企業は雇用の維持を」などと答弁したのは重要です。大企業に「努力」の余地があると認めるなら、その努力をつくさせるよう政府は指導・監督の責任を果たすべきです。それこそ「政治災害」の犠牲をなくすことにつながります。

 実際には志位委員長が「いすゞ」や「マツダ」の実例をあげて質問したように、大企業は社会問題になった「偽装請負」や「クーリング」期間を悪用した違法行為で三年の期限を超えて働かせてきた労働者にまで「派遣切り」を押し付けています。派遣法では三年を超えれば派遣先企業は直接雇用を申し出なければなりません。派遣先企業に無法な「派遣切り」をやめさせ、直接雇用の責任を果たせと指導するのは政府の責任です。

 「パナソニック」の場合も悪質です。異常な長時間労働で働かせたうえ、労働局から「偽装請負」を摘発され「派遣切り」をやめるよう指導されながら、低賃金のアルバイトでならと指導を免れようとするありさまです。わずか時給八百十円のアルバイトで直接雇用の申し入れ義務を果たしたことにされてはたまりません。政府は違法・脱法行為をやめるよう徹底して指導・監督すべきです。

 麻生首相は志位委員長の指摘を「事実なら異常」と認めながら、「個別企業の問題だから」と具体的な答弁は避けました。そうした態度だから無法な解雇があとを絶たないのです。違法行為が明らかな派遣先企業にきびしく指導するのは政府として当然です。

非人間的労働の一掃を

 志位委員長が予算委員会の質問で派遣問題を取り上げたのは、昨年の二月と十月につづいて三回目です。派遣法改正の「潮目の変化」をつくってきました。雇用破壊がいよいよ深刻化しているいまこそ、政府は非人間的な派遣労働を抜本的に是正すべきです。

 「政治災害」を根絶するのは、政府にやる気があればできることです。麻生首相は人間らしい血の通った心で自らの責任に向き合い、政治の手だてをつくすべきです。



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