2009年2月3日(火)「しんぶん赤旗」

主張

麻生首相答弁

責任認めず処方せん示せない


 麻生太郎首相の施政方針演説など政府四演説にたいし、各党の代表質問が三日間にわたっておこなわれました。日本共産党からは衆院で志位和夫委員長が、参院で市田忠義書記局長が質問しました。

 あきれ果てたのは、麻生首相の答弁です。かつてない雇用の崩壊が「政治災害」ではないかと追及されても責任を認めません。金融危機はアメリカからの「津波」だというだけで、自ら防波堤を壊し被害を大きくしたことも認めません。反省がない以上、まともな処方せんが示せないのは当然です。

看板も中身もない

 首相は施政方針演説で、「新しい秩序創りへの貢献」と「安心と活力ある社会」を目標に掲げ、「官から民へ」というスローガンや「大きな政府か小さな政府か」という発想だけでは、あるべき姿は見えないといいました。日本の行政は「産業の育成」では成功したが、これからは重点を「生活者の支援」へ移すともいいました。

 「官から民へ」や「小さな政府」は、小泉純一郎元首相が「構造改革」路線のスローガンとしたものです。麻生首相の発言は「構造改革」路線の破綻(はたん)を示すものですが、それに変わる路線が示されたわけではありません。これまでの「構造改革」路線は破綻したが、それを転換する、看板も中身もないというのが実態です。

 そのことを端的に示したのが、首相が今日の深刻な雇用の崩壊を「政治災害」と認めなかったことです。今回の雇用の崩壊は、これまでの不況とはくらべものにならないほど急激で大規模です。それは非正規労働の拡大で大もうけした大企業が、先を争うように「派遣切り」や「期間工切り」を進めたためであり、背景には労働法制の「規制緩和」があります。まさに「構造改革」路線そのものです。

 志位委員長や市田書記局長が、事態は政治の責任で引き起こされた「政治災害」だという認識と反省が必要だと迫ったのにたいし、首相は明確な答弁をしませんでした。これではいくら「これまでの想定を上回る」といい派遣法の「見直し」などを口にしても、雇用と生活を守る方策は出てきません。

 今日の事態をもっぱらアメリカからの「津波」と見るのも同じです。志位委員長は、アメリカから「津波」が押し寄せたのは事実でも、歴代政府が「防波堤」を破壊したことが被害を大きくしたと、「構造改革」路線を清算し、雇用の保障や社会保障の拡充など、内需主導の経済への抜本的な体質改善を求めました。

 ところがこれにたいして首相は、「『改革』の基本路線は維持」「『改革』を進化させる」などと答えたのです。「構造改革」は破綻しても転換せず、「防波堤」は壊れたままというのでは、「津波」から国民を守ることはできません。いくら「生活者の支援」に重点を移すといっても、それは信用できません。

「構造改革」の清算を

 とにもかくにも、施政方針演説でも代表質問への答弁でも、麻生首相の言葉には、国民への目線も、国民生活の安定に取り組む真剣さもありません。これまでの失敗の責任を認めないから、対策も真剣なものにならないのです。

 首相がほんとうに日本国民と世界への責任を果たそうというなら、破綻した「構造改革」路線を根本から反省し、清算すべきです。


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