2009年1月31日(土)「しんぶん赤旗」

発言09

「赤旗」創刊81周年によせて

弱者に寄り添う強い味方

弁護士 宇都宮健児さん


写真

(写真)うつのみや・けんじ 弁護士。1946年、愛媛県生まれ。ヤミ金、サラ金の高金利問題に早くから取り組む。2007年、湯浅誠氏らと「反貧困ネットワーク」を結成。 現在、代表。 「年越し派遣村」名誉村長。

 年末年始に東京・日比谷公園に開設された「年越し派遣村」には、企業に解雇され住む場所を奪われ手持ちのお金が数百円しかない、食事を三日間食べていないといった人が五百人やってきました。日本にこんなに貧困があることを、人々の目の前に突きつけました。
 そして「この人たちを路頭に迷わせるな」と、市民団体や労働組合が立場の違いを超え協力し、千六百九十二人のボランティアが全国から駆けつけました。「今の世の中捨てたもんじゃない」ということじゃないでしょうか。

 三百人近い人の生活保護が短期で認められ、緊急小口資金も貸し付けられました。大きな成果です。

 しかし、貧困は経済的な面だけではありません。彼らの多くが支えあう人を失っています。彼らには居場所と「新しい家族」が必要です。

相談者の姿に

 七〇年代、多重債務問題に取り組むようになったのは、最初から特別な使命感があったわけではありません。サラ金に追われる相談者を敬遠する弁護士が多いなかで私のところに回ってきたのです。

 相談者は青白い顔でやせ細ってやってきます。弁護を引きうけると、サラ金の攻撃はこちらに向き、相談者は一息つけます。そして次に会うとほおに赤みが出ているのです。私の父親は開拓農民で彼らのようにやせていました。なにか彼らの姿が重なるのです。

 多重債務問題は大きな社会問題になり、二〇〇六年、高金利の温床であるグレーゾーン金利が撤廃されました。正直言って私が生きている間に撤廃されるとは思っていませんでした。その成果の上にたって、貧困問題を正面に掲げることになりました。日本共産党が同じ時期に「ストップ貧困」を掲げたことに共感を覚えました。

物事を見抜く

 金利の自由化も当初「利用者に便利」といわれました。派遣労働が原則自由化された一九九九年、これも「働く人のニーズにあっている」と宣伝されました。今でこそ、労働者を雇用の調整弁として解雇しやすくするという残酷な実態がはっきりしましたが、当時多くの政治家、マスコミの批判は弱かった。

 その原因は彼らに現場感覚が欠けているからです。生身の人間、とりわけ底辺の人間にどんな影響がでるか考えずに、物事を抽象的にしか考えない。だからその本質が見えない。

 その中で「しんぶん赤旗」は、高金利や派遣労働に反対の態度を貫き社会的弱者に寄り添った報道姿勢をとっています。そして物事を見抜く視点を持っている。私たちの強い味方です。

 聞き手 柴田善太
 写 真 橋爪拓治


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