2009年1月26日(月)「しんぶん赤旗」

公明“所得再分配”と言うが

定額給付金より消費税減税こそ


 政府・与党は、二十六日にも二〇〇八年度第二次補正予算案の成立を狙っています。公明党がねじ込んだ二兆円の定額給付金は、報道各社の世論調査で反対が七、八割。公明党は、“給付金には所得再分配機能がある”などという新たな理屈まで持ち出しました。

 同党の山口那津男政調会長は二十日の参院予算委員会で、昨年来の物価高騰について、「原油価格は下がったが、食料品などはなお高い水準にある」と指摘。〇二年以降、大企業が業績を伸ばす半面、家計の可処分所得(所得から税金や社会保険料などを差し引いた残りの部分)が低迷してきたとし、「国民は経済成長の恩恵を実感していない」「物価上昇にあえぐ家計を、あまねく支援する政策は定額給付金しかない」と強調しました。

 そのうえで、給付金には、所得の高い人から低い人へ、税収の多い地域から少ない地域へ、所得再分配の機能もあると主張したのです。

 定額給付金は、高額所得者を含め全国民を対象に配られるものであり、まさに“珍論”のたぐいです。

増税と負担増

 自公政権下で可処分所得が低迷したのは、定率減税の廃止や、年金・医療など社会保障制度の連続改悪で、〇二年以降だけで年間十三兆円もの増税・負担増が家計を襲ったからです。一九九九年、二〇〇四年の派遣法改悪で、正規から非正規労働への置き換えが進んだことも拍車をかけました。

 自公政権はさらに、「三位一体改革」で地方交付税を〇四―〇六年度の間に五兆円以上も削り、地方の疲弊と地域格差を広げてきました。

 その一方で、大企業の法人税率引き下げや、大資産家にかかる所得税の最高税率を引き下げ、税による所得再分配機能を破壊してきたのです。

 公明党が、可処分所得や所得再分配を口にするのであれば、同党が「エンジン役」となって進めた「構造改革」路線の転換こそ必要です。緊急の対策として、せめて最悪の不平等税制である消費税の食料品非課税を実現すべきです。

6倍の負担率

 食料品にかかる消費税の負担率は低所得層ほど高く、年収二百万円未満の層では、千五百万円以上の層の六倍以上になります(グラフ)。消費税の食料品非課税は、物価高対策にも税制のゆがみを正すことにもつながり、予算も約八千億―一兆五千億円で実施できます。

 派遣労働を原則自由化した一九九九年以前に派遣法を戻し、雇用の流れを非正規から正規へ転換することも、家計の購買力向上につながります。

 公明党は、給付金の“効能”を最大限に宣伝する一方、自民党とともに二〇一一年度からの消費税増税を主張し、派遣労働の原則自由化をやめる抜本改正にも反対しています。

 一度限りの給付金は、大企業・大資産家優遇の税制にも、社会保険制度の空洞化に拍車をかけている非正規労働の拡大にも手をつけず、破たんしたグランドデザイン=「構造改革」路線にしがみつく公明党の姿を浮き立たせています。

グラフ


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