2009年1月25日(日)「しんぶん赤旗」

09春闘 賃上げも雇用も可能

大企業に巨額の内部留保


 物価高と収入減、雇用破壊が広がるなかでスタートを切った〇九年春闘。非正規切りが広がるなかで、「賃上げより雇用を」という企業側に対し、労働者側は「賃上げも雇用も」との声をあげています。(深山直人)


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(写真)「大企業はボロもうけを還元せよ」と日本経団連前で訴える労働者たち=14日、東京・大手町

 「工場の操業が停止するので、月二日は賃金が二割カット、一日あたり四千円の減少になる。組合の春闘要求四千円を満額とっても全然足りない」

 トヨタ自動車で働く労働者からこんな声が上がっています。

 同社は二、三月に操業を十一日間停止。そのうち二日間は賃金を二割カットする方針です。期間従業員を含む三万五千人が対象となっており、物価高ともあいまって賃上げは正規、非正規労働者ともに切実な要求です。

 年収二百万円以下が一千万人にのぼるなかで、最低賃金の引き上げと併せて、賃金の引き上げは社会的な課題になっています。

 しかも、日本経済を外需頼みから内需拡大によって景気回復をはかることが求められており、政府でさえ財界に賃上げを要請せざるをえないぐらい内需拡大にとって賃上げは不可欠になっています。

 これに対して財界・大企業は、「賃上げできる状況にない」「みんなで痛みを分かちあうべきだ」といっています。

 しかし、大企業(資本金十億円以上)の「労働分配率」は、一九九七年度から二〇〇七年度までの十年間で61・6%から51・8%へと約10ポイントも低下しています。(全労連・労働運動総合研究所『国民春闘白書』、以下の数字も白書による)

 付加価値額は一・一倍になっているのにもかかわらず給与は削減され、営業利益だけが二・二倍と大幅に伸びています。

 しかも、ため込み利益である「内部留保」は四百三兆一千九百八十四億円にも積み上がり、この十年で一・八倍に増やしています。

 トヨタの連結内部留保は十三兆九千三百三十二億円。そのわずか0・6%を取り崩すだけで、連結企業の主要百十三社で従業員一人当たり月一万円(ボーナス含む)の賃上げが可能です。雇用を維持したうえで賃上げを行う体力は十分です。

 全労連の大黒作治議長は「大企業はぼろもうけをはき出し、雇用と賃上げに対する社会的責任を果たせ」と主張。連合の高木剛会長は「企業はこの間、史上最高益をあげ、内部留保もある。賃上げ原資がないとはいわせない」とのべています。

賃上げも雇用も可能

財界の「ワークシェア」論

労働者に犠牲押し付け

 財界・大企業は、「ワークシェアリング的な働き方をみんなで我慢しながらすすめていく」(トヨタの宮崎直樹常務役員)といって、雇用対策として労働時間短縮で仕事を分かち合う「ワークシェアリング」をいいだし、一部の大企業などで実施に踏み出しています。

 トヨタ、マツダ、三菱自動車などでは、休業や夜間操業休止などを打ち出し、賃金カットを行う方針です。

 しかし、「雇用維持」といいながら、大量の非正規切りを撤回する考えはまったくありません。ホンダ、日産自動車に続いてトヨタも期間社員をゼロにする方針を明らかにするなど、雇用破壊を加速させようとしています。

 巨額の内部留保を取り崩すことも、株主配当も見直すことなく、雇い止めや賃下げなど労働者だけに犠牲を押し付けるものであり、ワークシェアリングの名に値しないものです。「ワークシェアリングで賃金を抑制し、雇用を守らないことがあってはならない」(「毎日」十六日付)と指摘する声があがっています。

 財界・大企業は結局、雇用も賃上げもやる気がないということです。これでは賃金低下で家計は冷え込んでしまい内需の拡大にはつながらず、それがまた国内生産の縮小と雇用の削減を招くという悪循環から脱出できません。

 労働運動総合研究所は、非正規の正規雇用化で三百六十万人、サービス残業根絶で百十九万人など働くルールの厳守で雇用を増やせば、国内生産は二十四・三兆円増加し、GDP(国内総生産)を2・52%押し上げて経済再生に役立つと試算。内部留保のわずか5・28%を取り崩すだけで可能としています。

 全労連の大黒議長は「賃上げにも雇用にもこたえる体力は大企業に十分にあるし、ともに守ってこそ内需を増やして日本経済を立て直すことができる」と語っています。


 労働分配率 企業のモノやサービスの生産によって得られた付加価値を労働者がどれだけ受け取ったかを表す政府統計の用語です。人件費(労働者の給与や福利厚生費)が付加価値額に占める割合を表します。

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