2009年1月24日(土)「しんぶん赤旗」

主張

付則で消費税増税

逆立ち税制の改悪に道理ない


 麻生内閣は二十三日、消費税増税を含む「税制抜本改革」法を二〇一一年度までに成立させることを「付則」に盛り込んだ、来年度の税制法案を国会に提出しました。

 「付則」によると、消費税増税の時期は経済状況などを見極めた上で定めるとしています。

 麻生太郎首相は昨年来、「経済状況を見た上で三年後に消費税の引き上げをお願いしたい」と繰り返しのべています。自民党と公明党の了承を得た「付則」について、首相は「私の当初申し上げた案が了承された」と語りました。

本質は変わらない

 与謝野馨経済財政相も次のように言い切っています。「(増税の)スタート時期は一一年度を含む」「政府の立場として物事があいまいになったり、先送りされた印象はない」―。

 「付則」の狙いは、首相が再三のべているように、経済の好転を条件に三年後(一一年度)からの消費税増税へ、確実に段階を踏んで進めるレールを敷くことにあります。国民の批判を恐れた与党内の「ひともんちゃく」で表現を少し変えただけで、本質は少しも変わっていません。

 中川昭一財務・金融相は「実際に(消費税を)上げるか上げないかは経済の回復を見極めることが前提だ」とのべています。自民も公明も、それで国民の不安が解消するかのように言っています。

 しかし、これは何ら「安心材料」にはなりません。自公政府は〇二年から六年間にわたって景気「回復」が続いたとしていますが、大企業が最高益を更新し続けた一方で、家計はまったく回復を実感できませんでした。大企業の利益の回復を日本経済の回復と同一視する自公政治の「景気認識」には、暮らしの目線がありません。

 何より、家計を含めて多少の回復があったとしても、消費税増税を強行すれば景気に大きな打撃を与えることは、一九九七年の5%への増税の経験で明らかです。当時、成長率が九五年度2・5%、九六年度は2・9%に達し、雇用者所得が年四、五兆円増えていたのに、消費税増税で一気にマイナス成長に落ち込みました。

 次の消費税増税の影響は、いっそう深刻になる危険があります。九七年度と違って一人当たり賃金が減少を続け、雇用者の所得は〇一年度と比べて二・三兆円、九七年度と比べると十四兆円も減っています。これに加えて小泉内閣以来、自公政府が社会保障と税金で十三兆円もの負担増を強行し、国民の可処分所得を大幅に削っています。自公の景気対策は一時的な定額給付金の二兆円程度で、国民の可処分所得の回復には遠く及びません。

財界の言いなりに

 「付則」の「税制抜本改革」には消費税増税だけでなく、これまで減税を重ねてきた法人実効税率引き下げも盛り込まれています。

 低所得者ほど所得に対する負担割合が重い消費税の増税は、大企業の「派遣・期間工切り」の被害者にも、容赦なく降りかかります。この消費税増税を、大企業優遇の法人税減税とセットで要求しているのが、雇用破壊の張本人の財界・大企業です。

 国民に信を問うことなく、財界・大企業の言いなりに、「庶民に増税、大企業に減税」の逆立ちした税制改悪のレールを敷くことには何重にも道理がありません。



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