2009年1月17日(土)「しんぶん赤旗」

主張

09国民春闘

経済危機下の労働運動前進を


 百年に一度とも、資本主義始まって以来ともいわれる深刻な金融・経済危機のもとで、二〇〇九年の国民春闘がたたかわれます。

従来にない変化の兆し

 「周期的経済恐慌は歴史的に労働組合に深刻な影響を与えてきた」といわれてきました。日本でも、一九七四―七五年恐慌に際し大企業労組の労資協調主義が一気にすすめられ、財界は「職場安定帯」を築き上げたと豪語しました。九〇年代不況では、非正規雇用=半失業者の拡大と成果主義管理が急速にすすめられ、労組の力が弱められました。

 しかし今回は従来にない変化の兆しが見えます。いすゞ自動車では解雇された非正規労働者が労働組合を結成してたたかい、期間工の解雇を撤回させました。大企業が一度決めた大量解雇を撤回した例はありません。

 さまざまな労組・市民団体・個人の共同による東京・日比谷公園での「年越し派遣村」は、国民的共感を集め、厚生労働省講堂の開放、生活保護申請の認定など国と地方の行政を動かしました。派遣法改正で自民、公明、民主の姿勢も変えさせてきています。まだ初歩的ですが、貴重な成果です。

 こうした成果は、階級的労働組合と革新民主勢力が、貧困と社会的格差の広がりに対し、非正規の労働条件改善と組織化、大企業の社会的責任の追及など、国民的反撃を開始していたからこそです。

 全労連だけでなく、連合の職場でも、阪急電鉄では職場活動家や労働組合のたたかいで、八百四十人の正社員化を実現しています。

 経済危機の“不意打ち”でうろたえているのは、財界・大企業です。なんらまともな経営努力もなく、ほとんど思考停止状態で無法な「非正規切り」に走り、国民的批判を浴びています。マスメディアはもちろん、首相や官房長官さえ、雇用確保に内部留保の活用をいう状況が生まれています。

 春闘でも財界は「司令塔」の役割を果たせなくなっています。財界は今年の春闘方針で、七四―七五年恐慌、九〇年代不況につぐ「第三の危機」に「労使一丸で難局を乗り越え」ようと呼びかけました。しかし、連合も金属労協も、財界みずから労資協調を崩しておきながら虫がいいと反発し、八年ぶりに賃上げを要求しています。

 そもそも連合は、その綱領的文書で「二度にわたる石油危機と急激な円高にも、わが国経済は、労働組合の適切な対応と質量ともに優れた労働力の存在などがあって、その困難を乗り越え」てきたと、労資協調主義を誇ってきた組合です。そうした連合の態度にも、変化の兆しが見られます。

賃上げも、雇用確保も

 財界は、相変わらず国際競争力の強化を叫んでいます。しかし、国際競争力の強化=外需一辺倒、労働者犠牲=内需圧迫に突っ走ってきた結果が、今日の惨たんたる状況です。「非正規切り」は「政治災害」といわれるように、自民党政治の害悪も明らかです。

 内需拡大のためには、賃上げも、雇用の確保も重要です。財界・大企業とアメリカという、自民党政治の「司令塔」が破たんしたもとでたたかわれる〇九国民春闘を、日本の労働組合運動の前進と、政治、経済社会の歴史的転換のはじまりにしようではありませんか。


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