2009年1月12日(月)「しんぶん赤旗」

雇用の危機
いま政治に求められることは

テレビ番組 市田書記局長語る


フジテレビ系

 日本共産党の市田忠義書記局長は、十一日放送のフジテレビ系番組「新報道2001」に出演し、定額給付金の是非や、雇用危機打開の方策について、各党代表と討論しました。


給付金――麻生政権の迷走なぜ

給付金は「迷走金」―公金を使った選挙対策を国民は見抜いている

 番組では、定額給付金を高額所得者も受け取るべきかなどをめぐり、「なぜ(麻生首相らが)これだけ迷走するのか」が議論となりました。市田氏は次のように発言しました。

 市田 私、この給付金は「迷走金」と呼んでもいいと思うんですけれども、どうして、これだけ(首相らの発言が)ぶれたり、わけがわからなくなっているか。それは、真剣に国民の暮らしをどうしようかという検討があって、この案が出てきたのではなく、公金を使った選挙対策のバラマキというところを、国民が見抜いている(からだ)と思うんです。

雇用対策、後期高齢者医療、障害者自立支援法…2兆円の使い道はほかにあるはず

 暮らしが大変だから、現金収入をもらえるんだったら、みんな喜ぶはずなんですよね。それが、七割、八割の人から「これはいかがわしい制度だ」と反対の声があるということは、自民党も公明党も謙虚に受け止めるべきだと思います。

 二兆円のお金があるんだったら、職を奪われて住む家もなくなった、いまの「派遣切り」にあっている労働者の雇用対策や、後期高齢者医療制度でお年寄りの医療差別が強行されている(ことへの手当て)、あるいは障害者自立支援(法)のために、(利用者の)一割負担で三百二十億円(の国庫予算が削られている)でしょう。その分にどうして回さないのか。

 これだけのお金があるんだったら、もっとほかに使い道があるんじゃないのかということを、その本質を国民が見抜いているから、七割、八割が反対していると思うんですね。

いくら与党が弁解しても給付金は“大増税予約付き”

 これに対し、公明党の北側一雄幹事長が「選挙対策だという言い方は有権者に対する愚弄(ぐろう)だ」と“反論”を試みましたが、司会からは「もっと有効な使い方があるのに、なぜ与党は給付金にこだわるのか」とたたみかけられました。

 市田氏はこの点について、再度発言しました。

 市田 やっぱり選挙対策でしょうね。公金を使った究極のばらまきでしょう。この間、庶民増税や社会保障の切り捨てで、十三兆円も年間負担が増えているわけですよ。そのときに、一回こっきりの二兆円で、これまでの負担増を堪忍してくれといっても、国民は鋭く、このうさんくささを見抜いていると思うんですよ。

 しかも、三年後には消費税の増税をお願いしますと、麻生さんが十月三十日に追加経済対策を発表したときに、バラマキといわれることを恐れて、ちゃんと言ったんですよ。いくら(与党が)弁解しても、“大増税予約付き給付金”なんですよ。

 NHKの調査では、この制度が「非常によい」と答えた人が1%です。どのマスコミでも、六―八割の人が、この制度はよくないといっている。その土台に何があるかということを、与党は、もっと謙虚に受け止めるべきだと思います。

雇用危機どう脱却

製造業の利益は4年で35兆円増―体力十分な大企業が大量解雇とは

 続いて「雇用危機を脱却するにはどうしたらよいか」がテーマになりました。

 番組ではゲストが、「年越し派遣村」で支援を受けた人たちに「人の世話になることを恥と思い、支援を待つのでなく行動すべきだ」と“アドバイス”するなど、大企業の責任を免罪する「自己責任論」が展開されました。

 また、製造業への派遣を規制する動きが出てきていることについて、自民党の細田博之幹事長は「景気が回復したときには、こういった(製造業への派遣)制度も私は意味があると思う」と述べ、規制強化に反対を表明しました。

 一連の議論を受け、市田氏は次のように発言しました。

 市田 いま、大量に首切りをやっているのは、ためこみ利益がいっぱいある、体力十分な大企業の製造業なんですよ。キヤノンにしてもトヨタにしても。製造業だけで見ますと、この四年間だけで、利益は累計で三十五兆円増やしています。株主配当は、この四年間で実に二十一兆円ですよ。すなわち、体力はあるわけですよ。十分体力がありながら、「派遣切り」を大いにやっている。

可能にしたのは政治の責任―使い捨て労働をまん延させた派遣法の改悪

 (もう一つの問題は)それを可能にした政治の責任です。一九九九年までは、派遣は通訳・翻訳業など、一時的・専門的な業務に限られていたんですよ。ところが、人件費削減をやりたいために、いかに安上がりで労働者をこき使うか、いらなくなったらすぐ吐き出せるような、そういう派遣法の改悪をやって、使い捨て労働をまん延させた。一九九九年に原則自由化し、二〇〇四年からは製造業にまで拡大したことが、いまのような状況を生み出したのです。

雇用と景気の悪化の悪循環から雇用を守り内需拡大への転換を

 民主党の鳩山由紀夫幹事長が「私どもは、〇四年のときに製造業にまで派遣を認めることに反対した」と発言しました。これに対し、公明党の北側幹事長は「もともと平成十一(一九九九)年の改正には民主党は賛成したんです。そこで原則自由化したんです。共産党以外は賛成した」と述べました。

 他の出席者から、「製造業派遣を禁止したら、逆に失業が増える」などの意見が相次いだのに対し、市田氏は次のように述べました。

 市田 二〇〇〇年のときと現在と、製造業で仕事をしている絶対量は変わらないんです。だいたい九百三十万人くらいなんです。何が変わったかというと、正社員が減って、派遣や請負という非正規に置き換えたんです。すなわち、仕事は正社員と同じような仕事なのに、安いコストで働かせようと。いつでも首が切れると。

 そういうことをやっていたら、結局、雇用の悪化と景気の悪化というのは、悪循環が進むんですよ。消費は落ち込み、所得は落ち込むわけでしょう。そうしたら物が売れなくなる、また労働者の首を切る―。そういうやり方じゃなくて、雇用を守ることが景気を回復させ、内需を回復させるうえで大事だという方向に、切り替えていかなければなりません。


テレビ朝日系

 日本共産党の市田忠義書記局長は、十一日放映のテレビ朝日系番組「サンデープロジェクト」に出演し、各党幹事長と雇用危機の問題を中心に議論しました。


進行する大量解雇に政治は

正社員の非正社員への置き換え―99年派遣法の改悪、04年の製造業への解禁が決定打に

 冒頭、司会の田原総一朗氏が、三月末までに十万人、二十万人ともいわれる非正規労働者が解雇されるという見通しを示し、「市田さん、どうとらえていますか」と尋ねました。市田氏は、製造業で働いている人の絶対数は、二〇〇二年と現在で変わらないグラフを示し、次のように述べました。

 市田 仕事は正社員と同じだが、コスト・人件費を削減するため、正社員を非正社員に置き換えた。それを可能にしたのが一九九九年の労働者派遣法の「改正」、そして製造業に解禁した二〇〇四年(の「改正」)です。製造業従事者の派遣社員は、〇二年と〇七年を比べたら、激増しています(グラフ)。

 それで製造業の大企業の純利益と配当がどうなったかというと、〇四年からの四年間で累計三十五兆円も利益が増えている。配当は四年間で二十一兆円です。労働者の取り分は減らされ、株主への配当は増え、利益を受けているのです。

 これに対し、自民党の細田博之幹事長が「企業がこの三、四年もうけたのは事実だが、今回、大変悪くなって(利益は)全部吐き出した」などと発言。市田氏は「事実は資本金十億円以上の大企業の内部留保は二百三十兆円です」と指摘し、田原氏も「内部留保はいま最高だ。なんで派遣を切るのか」と述べました。

 労働者派遣法をどう改正するかも議論となり、民主党の鳩山由紀夫幹事長が「製造業は少なくとも派遣を認めない方向にもっていかなくてはいけない」としつつも、二、三年の猶予期間が必要だと主張。市田氏は、「一九九九年の原則自由化前に戻すべきだ。その点では社民党、国民新党とも一致している」と述べました。

グラフ

解雇でなく正社員化を―体力は十分のはず

 また、公明党の北側一雄幹事長が、民主党の猶予論をとらえて、「いま何をするかが問われている」と発言したことをうけ、市田氏は次のように述べました。

 市田 (大企業は)内部留保を吐き出し、株主への配当を減らして、きちんと労働者の雇用を守るべきだ。いま製造業で四十五万人の派遣社員がいて、そこがどんどん首を切られているが、偽装請負が大きな社会問題になったとき(〇五―〇六年)、本来、正社員とすべき人を、派遣社員として使ってきた。その期限が〇九年で切れる。そのときに正社員化しておけば、いわゆる二〇〇九年問題(今年、製造業で大量の派遣期間切れが発生するといわれている問題)なんて生まれなかったんですよ。

 これに対し、田原氏は「無理だ」と異論をはさみましたが、市田氏は、「契約期間が満了しても正社員と同じ仕事をしていた人は正社員化すべきだ。それを首切るというのはやめさせるべきだ」と主張しました。

派遣先の大企業に雇用責任がない―派遣法の一番の欠陥

 派遣先企業の責任を明確化することが議論となり、市田氏は次のように述べました。

 市田 いまの派遣法の一番の欠陥は、派遣労働者を受け入れた派遣先にはなんの責任もないことです。派遣法の抜本的改正をやる必要があります。ただ、現にそこで働いている人は(契約途中の派遣切りだけでなく)、先ほど述べたように二〇〇九年問題で自動的に切られるわけです。だから派遣先に雇い止めをやらせない具体的な立法措置を講じる必要があります。

派遣法を99年以前に戻せという国民的合意ができつつある

 また、派遣法の議論のなかで労働組合のあり方が問題となり、市田氏は次のように述べました。

 市田 全労連系も連合系もあらゆる傾向の労働組合があまりの(非正規労働の)ひどさに、(派遣法を)九九年以前に戻すべきだという国民的合意ができつつある。(日比谷の)「派遣村」では、いろんな傾向の労働組合、市民が参加した。こんな使い捨てを許していたら日本の経済、日本の景気全体が悪くなる(という合意がつくられつつある)。

経団連の「ワークシェア」論

腹を痛めず賃金を減らすための言い分―まず「派遣切り」をやめさせるべきだ

 日本経団連の御手洗冨士夫会長などがワークシェアリングの検討を言い出したことについて、市田氏は次のように述べました。

 市田 御手洗さんが「雇用を守るためにワークシェアリングを」とおっしゃった。それをいうのだったら、率先して期間社員や派遣社員切りをやっている首切りをやめてからものをいってほしい。

 彼らがいっているワークシェアリングというのは、自分たちの腹は一切痛めないんですよ。内部留保を吐き出すこともしないし、株主配当を減らすこともしないで、正社員の給料を減らそうという言い方で、何か労働の分かち合いだと、仕事の分かち合いだと非常にいいように聞こえるけれども、いわば賃金を減らすための言い分としてワークシェアリングが用いられている。それは論外です。

米国型株主資本主義の破たん追従した日本の大失敗

 コメンテーターで双日総合研究所の吉崎達彦氏は「内部留保によって資本調達のコストが変わるような仕組みにいまなっている」「世界経済がグローバル化してそうなった」と主張したのにたいし、市田氏は次のように反論しました。

 市田 アメリカ型の株主資本主義が破たんした。それに学ぼうということで日本がやってきたことがいま破たんした。(短期的な)株の投機的売買をやって、リストラする企業の株価が上がる。株価が下がれば投げ売りするというやり方が破たんして大失敗しているわけだから、雇用を大事にすることが所得、消費を高め景気をよくしていくことになる。そこに視点を移さないとだめだ。

どうみる定額給付金

 定額給付金に議論が移り、与党は「定額給付金は減税だ。減税に(野党が)反対するのが理解できない」(公明・北側幹事長)などと正当化しました。市田氏は、次のように批判しました。

 市田 これだけ暮らしが大変なときに、現金収入があれば、だれもがみんな喜ぶのは当たり前ですよ。のどから手がでるほどお金がほしいと思っている。にもかかわらず、七割、八割の人がこれをうさんくさい、こんな制度はけしからん(と思っている)。

 そのうえで市田氏は、「この間、暮らしを悪化し、景気を悪化させてきた自公政権の政治姿勢について反省が必要だ」と指摘し、「(小泉政権以来)十三兆円の負担増を強いながらたった一回こっきりの二兆円の選挙対策のバラマキをやっても国民は納得しない」と述べました。

 鳩山氏も、「二兆円だして一兆円の半分だけの効果しかない」と批判。市田氏は、二兆円の使い方についても、次のように述べました。

2兆円もあるなら、職を失い家もない労働者のために使うべきだ

 市田 二兆円もあるんだったらどうして、もうちょっと住む家もないような「派遣切り」にあった労働者のことを考えないのか。

 今度の第二次補正予算の雇用対策は千六百億円でしょう。(その一方で)日比谷の「派遣村」から東京都の施設に移された人が十二日期限で出て行きなさいといわれているわけでしょ。そういうところにもっとお金を使うべきだ。


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