2009年1月7日(水)「しんぶん赤旗」

主張

二次補正予算案

展望も温もりもない対策だ


 麻生内閣が提出した第二次補正予算案の審議が始まりました。

 麻生太郎首相が昨年十月に発表した「生活対策」、十二月に発表した「生活防衛対策」の追加歳出として、約四・八兆円を計上しています。

 政府・与党は「生活」を前面に押し出し、中川昭一財務相は五日の財政演説で「国民の生活不安の解消をめざす」とのべました。

 その宣伝とは裏腹に、二次補正は選挙目当ての給付金や大量解雇を前提にした雇用対策など、生活をなおざりにする一方で大企業・大銀行は手厚く応援しています。

財界にモノが言えない

 十年前の地域振興券の経験で、一時的な給付金の経済効果は極めて小さいことが証明されています。にもかかわらず、政府・与党が給付金を景気対策の最大の目玉にしているのは、選挙対策以外のなにものでもありません。

 緊急の対応が求められている派遣・期間工切りの問題でも、大企業にきぜんとモノを言うことすらできないのは情けない限りです。六日の衆院代表質問で日本共産党の佐々木憲昭議員が「首切り」撤回を求める首相の決意をただし、首相は「経済界には最大限の努力を要請してきた」と答えました。その要請の直後に日本経団連の御手洗冨士夫会長が経営するキヤノンが大量解雇を発表したことは、政府の弱腰が完全に見透かされていることを示しています。

 職場を追われた労働者への支援も形だけで、まったく真剣さがありません。それをあらわにしたのが、自民党の坂本哲志・総務大臣政務官の五日の発言です。東京・日比谷公園の「年越し派遣村」について、「本当にまじめに働こうとしている人たちが集まっているのか」と言い放ちました。

 凍える年の瀬に職を失い、住む場所も生活のよるべも奪われた労働者に、あまりにも冷たい言葉です。まして、これは決して自然災害ではなく、労働法制の規制緩和が引き起こした「政治災害」です。大企業の横暴とともに政治の責任が厳しく問われているのです。

 「年越し派遣村」で夜露をしのいだ男性が語っています。「去年は人生最悪の年だったけど、派遣村で人の温かさを知ることができた」―。こんな取り組みこそ政府の責任で、全国でやるべきです。

 自公政府は「百年に一度の危機」と繰り返しています。しかし、日本経済を立て直す道筋をまじめに検討した形跡は見られません。

異常な景気悪化の原因

 内閣府は昨年末に発表した「ミニ経済白書」に、「急速に厳しさが増す景気後退」と副題を付けました。日本の景気は異常な速さで悪化しています。

 その大きな原因を、日本共産党の志位和夫委員長が五日の「党旗びらき」で指摘しています。人間らしい労働のルールを破壊し非正規雇用を急増させたこと、雇用や社会保障を切り捨てて内需を犠牲にアメリカに依存した「外需頼み」の経済をつくったこと、大企業の資本を左右する証券市場を金融の規制緩和で「外資頼み」の投機にゆだねたこと―。

 庶民の暮らしを応援する消費税の食料品非課税をはじめ、内需を温める真剣な緊急対策が求められます。同時に、経済を立て直すには、未曽有の景気悪化の根源にメスを入れることが必要です。



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