2009年1月6日(火)「しんぶん赤旗」

主張

首相年頭会見

安心も活力も壊す消費税増税


 麻生太郎首相が年頭にあたっての記者会見で、九月の衆院議員の任期切れまでに必ずおこなわれる総選挙で、消費税増税を争点として持ち出す考えを改めて表明しました。

 麻生首相は記者会見で「安心」と「活力」の書き初めを披露してみせましたが、消費税増税は国民の安心も活力も壊すものです。

 五日からは通常国会が始まりました。麻生内閣を論戦とたたかいで包囲し、消費税増税を断念するまで追い詰めることが重要です。

「中福祉」どころか

 麻生首相は就任以来、三年後には消費税の増税をとの発言を繰り返し、昨年末に閣議決定した「中期プログラム」でも、「消費税を含む税制抜本改革を二〇一一年度より実施できるよう」と明記しました。

 首相が新年の基本姿勢を示す年頭の記者会見で、今年おこなわれる総選挙の争点として消費税の増税を持ち出したのは、見過ごすことのできないものです。

 首相は、消費税増税を争点にするのは国の将来にたいし責任を持つからで、「中福祉」のためには「中負担」が必要だと繰り返しますが、とんでもないことです。

 消費税が一九八九年四月に導入されて今年で二十年です。政府や財界は、消費税導入のときも、増税のときも、「福祉のため」というのを常套(じょうとう)句にしてきました。しかしこの二十年間福祉は充実されるどころか、医療も年金も介護も生活保護も、改悪に次ぐ改悪を重ねてきたというのが国民の実感です。

 この二十年間の消費税の税収は二百兆円に上ります。そのほとんどは大企業や大資産家向けの減税で消えてしまい、政府は軍事費などのムダは続けながら、財政が大変だからと、社会保障のための予算を毎年削減してきました。

 もともと低所得者ほど負担が重く逆進性の高い消費税は、福祉の財源としてもっともふさわしくないものです。その消費税の増税を、「中福祉」のためだとか、国民の「安心」のためだなどといいはる麻生首相の態度は、国民の福祉や暮らしのことなどまともに考えたことがないことを示すだけです。

 「活力」という点でも消費税増税は消費を冷やし、中小企業の経営を圧迫します。世界的な金融・経済危機の中で、イギリスなどでは消費税(付加価値税)の減税まで実行しているのに、繰り返し消費税の増税を持ち出す麻生首相には、国民や中小企業の活力など眼中にないのも同然です。

 昨年末発表された「日経」の世論調査でも、二〇一一年度からの消費税増税を明記した「中期プログラム」を評価しないという答えが58%に上りました。総選挙での審判を待つまでもなく国民の圧倒的多数が反対しています。消費税増税に固執する首相には、国民の声に耳を貸す姿勢がありません。

大企業奉仕改めれば

 福祉をまかなう財源は、軍事費や大型開発のムダを一掃し、大企業や大資産家に応分の負担を求めれば確保できます。麻生首相がどんなに反対されても消費税増税にこだわるのは、大企業奉仕の政治を改める気がないからです。

 麻生首相に消費税増税をあきらめさせるとともに、大企業奉仕の政治を、根本から改めることが不可欠です。通常国会と総選挙は、そのための絶好の機会です。



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