2009年1月3日(土)「しんぶん赤旗」

09展望 社会保障

抑制路線の根本転換へ

国民の反撃さらに


 二〇〇八年は、長年の福祉切り捨て路線への国民の怒りが大きく広がり、自公政治を追い詰めた年でした。〇九年は、さらなる世論と運動で、本格的な路線転換を勝ち取る年です。

削減路線の破たん

 妊婦が病院の受け入れ困難で死亡する、介護疲れで殺人や心中が起きる―小泉内閣以来すすめられてきた社会保障費の削減路線は、「医療難民」「介護崩壊」といわれる深刻な事態を招き、社会を殺ばつとした状況に陥れました。国民の怒りに、政府は〇九年度予算案で、毎年二千二百億円と決めた削減幅を二百三十億円に“圧縮”せざるをえませんでした。

 しかし、「削減路線」そのものは撤回していません。“圧縮”のための財源も、年金特別会計の流用など一時しのぎの財源です。根本にある路線の転換が政治の重大争点です。

一つの転機08年

 医師不足では、〇八年は、一九八〇年代からの医療費抑制政策を変える一つの転機となりました。政府は、医学部定員を抑えてきた八二年と九七年の閣議決定を事実上変え、過去最高の定員増を決めました。

 国民健康保険証取り上げをやめさせる問題も一定前進しました。九七年の国民健康保険法改悪で国保証取り上げは自治体の義務にされました。日本共産党はこの改悪に反対しました。共産党が早くから取り上げてきた子どもの無保険問題をきっかけに、昨年は中学生以下からは保険証を取り上げない法改正が全会一致でおこなわれました。「取り上げは命を脅かす」という世論をいっそう進め、子どもだけでなく、すべての世帯で取り上げそのものをやめさせることが求められます。

後期医療の廃止を

 かつてない規模で広がった後期高齢者医療制度への怒りは政治を揺るがし、いったん成立した法律の廃止法案が参院を通過する成果を生みました。

 政府・与党は「見直し」を言いつつ、制度の根本を変えようとしません。民医連の調査では、すでに受診抑制や保険料滞納が起きています。実施一年となる〇九年以降は、「一年以上の滞納」によって、七十五歳以上のお年寄りから大量の保険証取り上げが生じかねません。取り上げを許さない取り組みとともに、制度の廃止が焦点です。

 廃止法案は衆院で継続審議になっています。徹底審議で法案の可決をめざすとともに、総選挙で、廃止への審判を下すことが重要です。

障害者自立支援法

 今年は、障害者自立支援法の施行三年後の見直しの年です。政府は、通常国会に障害者自立支援法「改正」案を提出する予定です。

 政府は、利用したサービスの原則一割を負担する「応益負担」という根本を変えようとしていません。日本共産党は、現行法の廃止と、障害者の権利を保障する新たな法制度を提案しています。

介護保険の改定

 介護保険も四月から保険料と介護報酬が改定されます。介護報酬は初めて引き上げられますが、不十分です。また、一年かけて障害者福祉との統合など制度の見直しが検討される予定です。現在、四十歳以上の人が納めている保険料を、働くすべての人から徴収する案などが検討されています。

消費税増税反対

 四月から、基礎年金の国庫負担が三分の一から二分の一に引き上げられます。財源は「埋蔵金」といわれる財政投融資特別会計からの特例的な繰り入れです。恒久財源として政府・与党が狙う消費税増税を許さないたたかいが〇九年の重要な課題です。

 消えた・消された年金などの解決が進まない中で、十二月末には社会保険庁が解体されます。国の責任放棄を許さないことも求められています。



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