2008年12月30日(火)「しんぶん赤旗」

守れ雇用

母は立つ

派遣切り 労組入り団体交渉へ

新潟・上越


 年の瀬が迫った十二月に「派遣切り」にあった新潟県上越市のシングルマザーが、「子どもたちのために、泣き寝入りはできない」と、にいがた青年ユニオンに加入してたたかっています。年明けの六日に派遣会社と団体交渉をする予定です。(海老名広信)


 「何でわたしが解雇なの。納得いかない」。女性(35)はとつとつと語ります。来年三月十四日までの契約ですが、派遣会社から十二月八日、「一月八日で契約解除」を告げられました。

 女性は二〇〇五年七月から派遣会社・エイジェック(本社=東京都新宿区、従業員七千六百人)に登録し、日信工業(本社=長野県上田市、資本金三十七億円)の直江津工場で働いてきました。

 仕事はオートバイのブレーキの検査。「人の命にかかわる部品だから」と、入念に作業します。一時間約百個を目標に一日八時間立ちっ放し。「最初は足が痛くて痛くて。正直やめたいと思ったけど、二人の子のために歯をくいしばりました」

 基本給は月額十五万円を超える程度。社会保険料などを控除すると手取りは十三万円ほどに。月四万円の児童扶養手当を加えても「貯金はできません」。

 両親が他界したあとの実家に暮らします。子どもは育ちざかり食べざかりで一日五合、ごはんを炊きます。服はすぐ小さくなり友人に譲ってもらい、しのいでいます。

正社員と同じ

 女性は半年程度の雇用契約を更新。三年以上同じ業務に携わり、正社員と同じ仕事をしています。日信工業は女性に直接雇用の申し込みをする義務が生じていました。

 日信工業は今年春ごろから派遣社員の削減を徐々に進めていました。女性は、来年三月の契約満了で雇い止めされても、次の職に移るため、資格をとろうとしていました。

 ところが、契約途中の解雇をエイジェック社に告げられたのです。理由は「ほかに派遣先が探せないから」。子どもを保育園に送るため勤務時間に融通がきかないことを、担当者は、派遣先を紹介できない訳としてほのめかしました。

 繁忙期、子どもの発熱で休めばいやみをいわれ、職場でミスがでれば正社員と一緒に怒られました。「仕事が減ると、サクサク派遣労働者を切るのはひどい」。日信工業への憤りは隠せません。

子どもが救い

 女性は知人の紹介で、にいがた青年ユニオンに相談。「あなたは悪くない。一緒にたたかうからがんばろう」と励まされました。この間、会社との折衝には地元の上越地区労連の人たちも参加。「私ひとりのために多くの方が動いてくれて感謝します。厳しい年始となりますが、子どもたちが元気なことが救いです」と、女性は気丈に語ります。



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