2008年12月26日(金)「しんぶん赤旗」

ソマリア沖派兵検討

政府 海賊対策を口実に


 政府は二十五日までに、アフリカ東部のソマリア周辺海域で被害が多発している海賊からの日本の民間船舶警護を口実として、海上自衛隊の護衛艦を派兵する方向で検討に入りました。河村建夫官房長官は同日の記者会見で「政府内で検討していることは事実」と述べました。

 麻生太郎首相は十月の衆院テロ特別委員会で、ソマリア沖への海自派兵の検討を表明。これを受けて自民党が検討を開始し、外務省にも海上安全保障政策室が設置されました。

 政府・自民党はこれまで、(1)海自の海賊対策の範囲をソマリア沖に限定した特措法(2)範囲を限定しない一般法―を検討してきました。しかし、公明党は慎重姿勢を示しており、民主党内もまとまっていないため、来年一月召集の次期通常国会に新法案を提出しても成立する見通しは立たないのが現状です。

 このため、新法が制定されるまでの「つなぎ」の措置として、自衛隊法に基づく海上警備行動で海自護衛艦を派兵する案も検討されています。河村長官は会見で「中国の艦船も二十六日に出発する。日本としても対応を急がねばならない。現行法であれば海上警備行動だ」と語りました。

 新法はもちろん、海上警備行動であっても、海外での武力行使につながるもので、真に必要な対策についてのまともな検討もありません。

 国際海事局(IMB)の統計によると、世界全体での海賊発生件数は大幅に減少しているものの、ソマリア沖を含むアフリカ周辺海域では二年連続で増加。今年九月までの海賊事件のうち、約60%が同海域で発生しています。



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