2008年12月25日(木)「しんぶん赤旗」

主張

「中期プログラム」

希望を奪う「消費税頼み」


 麻生内閣が社会保障と税制の「中期プログラム」を決めました。二〇一一年度から消費税を含む税制「抜本改革」の実施をめざすと明記しています。

 「抜本改革」の基本方向として法人税率引き下げを掲げました。

政治には値しない

 中期プログラムは、社会保障の「ほころび」に対応し、「機能強化と効率化を図る」とのべています。その具体化は、「安定財源を確保した上で」段階的に進めること、安定財源とは「消費税」だとしています。

 「構造改革」による異常な連続切り捨てで、社会保障には大きな穴が開いています。後期高齢者医療制度の廃止や医師不足への対応をはじめ、医療、年金、介護、生活保護など社会保障のあらゆる分野で根本的な対策が必要になっています。これを「ほころび」と呼ぶ麻生内閣と自民党、公明党の認識はあまりにも甘すぎます。

 同時に見過ごせないのは、中期プログラムが「ほころび」の補修すら「安定財源を確保した上で」、つまり消費税を増税しない限り実行しないとしていることです。

 国民の暮らしは、アメリカ発の金融危機の被害、食料品など物価上昇などによって深刻な困難に陥っています。暮らしの土台を支える社会保障を立て直すことは国民の切実な願いであるとともに、内需を温めて日本経済を安定させるために必要不可欠です。

 何をおいても暮らしを守るために予算を組むべきです。それにもかかわらず自公政府は、消費税を増税しなければ社会保障の「ほころび」を繕う予算も出せないというのです。全力で国民に支援の手を差し伸べなければならないときに、“何とかしてほしければ消費税増税を認めろ”と国民を脅し、負担を強いるような政治は政治の名にまったく値しません。

 麻生内閣は歴代首相が国民に約束してきた道路特定財源の一般財源化を骨抜きにし、証券優遇税制を続け、大企業向けのいっそうの減税を進めようとしています。国民の暮らしの予算に使うべき財源を次々とつぶしているのは、国民を犠牲にして財界・大企業に奉仕する自公政治そのものです。

 麻生首相は二十四日の記者会見で、「増税は社会保障、年金、医療、介護を安心なものにするためのもの」だと説明しました。しかし中期プログラムによると、「社会保障のため」という説明は完全な看板倒れになりそうです。

 中期プログラムは、社会保障の公費負担の三分の一は借金に依存しているとして、次のように宣言しています。消費税増税の際に社会保障の公費負担の「全額」をまかなうことを「理想とし、目的とする」。「借金」部分を消費税で穴埋めするということです。

社会保障に回らない

 “公費負担の三分の一が借金”とは、大型公共事業と大企業減税で膨らんだ借金の元利払いを含む「公債依存率」を、単純に社会保障に当てはめた不当な議論です。この「借金」の規模を政府は十兆円と試算しています。法人税率の引き下げに必要な数兆円の財源を加えると、消費税率を二ケタに増税しても全部吸い込まれ、社会保障の財源には回りません。

 「消費税頼み」は、ささやかな国民の願いも希望も踏みにじる最悪の「プログラム」です。



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