2008年12月17日(水)「しんぶん赤旗」

「悪の根源は官僚」 この種の議論どう考える?


 〈問い〉テレビ番組で、自民、民主らの国会議員が「最大の悪の根源は霞が関の官僚」「この改革が次の選挙での最大のテーマ」といっていました。日本共産党はこの種の議論をどう考えていますか?(兵庫・一読者)

 〈答え〉“霞が関をぶっつぶせ”“官僚支配を打破しよう”―。近ごろ、こんな官僚批判が民主党の街頭宣伝などで盛んに展開されています。また、自民党議員からも同様の官僚批判が飛び出しています。

 たしかに、必要のないタクシーの利用など税金の無駄遣いや、国民の年金受給権を侵害するずさんな年金記録管理などが、国民の厳しい批判を浴びています。しかし、“脱官僚支配”で問題が根本から解決されるのでしょうか。

 たとえば、無駄な公共事業の推進などで、官庁や官僚は自公政権の悪政推進に大きな役割を果たしてきましたが、その根本には、「政官財」の癒着という実態があります。

 財界・業界から政治献金を受け取っている政党は、大企業の利益を図るための政治や立法を推進します。財界・大企業優先政治のもとで、官庁・官僚が具体的な予算編成や政策・法案を立案し、それらを実行に移します。大企業はその見返りとして官僚の天下り先を用意する。―これが「政官財」癒着の構造です。この構造は、防衛調達や道路建設がらみの汚職など、およそ利権がからむあらゆる問題に共通しています。

 その構造の頂点に立つのが、政治を支配する財界・大企業です。その証拠に、自民、民主の「二大政党」のなかからは、財界への批判はほとんど聞こえてきません。もっぱら官僚だけを批判するやり方は、横暴な財界の対応から国民の目をそらし、財界優先政治をすすめる自公両党の悪政をも免罪することにつながります。

 自民、民主両党が財界を批判しないのは、いずれも日本経団連が勝手に採点する“政党通信簿”ともいうべき「政策評価」が気になるからです。日本経団連は、「政策評価」の採点に応じて企業に献金をあっせんしているのです。

 自民、民主両党は、日本経団連が示した「優先政策事項」の求めに応じ、消費税率引き上げや法人税率引き下げなど、財界が求める政策を新たな税制「改革」の方針に盛り込もうとしています。

 しかし、「政官財」癒着のもとで悪政を推進してきた自民党政治も、行き詰まっています。とくに、この間の経済不況や雇用の悪化にも無策の麻生自公政権は、支持率も20%台に急落し、国民の厳しい批判にさらされ、政治の根本的な転換を迫られています。この期に及んで、「官僚批判」で国民をごまかすことは許されません。(林)

 〔2008・12・17(水)〕


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