2008年12月13日(土)「しんぶん赤旗」

最低賃金時給千円にしたら中小企業はつぶれる?


 〈問い〉 日本共産党は「全国一律最低賃金制、時給千円以上」を主張していますが、今でもぎりぎりの経営である私たち零細企業はとてもやっていけません。この点をどう考えていますか。(大阪・一読者)

 〈答え〉 いま日本では年収200万に満たない人が1000万人を超え、貧困が深刻な問題となっています。全国一律の最低賃金を定めることは「国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」(憲法25条)にてらし、国民生活の最低基準を示す重要な意義をもっています。

 全労連の試算では、首都圏で暮らす若年単身労働者(20代)の最低生計費は、月額23万3801円(税・社会保険料込み)、時給にすれば1554円、手取りは19万1406円です。ところが、08年の地域別最賃は最も高い東京でも766円です。最低賃金で暮らす「最賃体験」に挑戦した宮城県の労働者(最賃639円)は、「食事は2食で外食禁止、家賃1万円以下」などでなければ、とても暮らせないと報告しています。

 国民生活の最低基準を確保する立場から、日本共産党は、速やかに最低賃金の時給を千円以上に引き上げるべきだと考えています。全労連も連合も同様の要求をしています。

 では、中小企業が時給を実施する上での困難とその打開策をどう考えたらよいでしょうか。中小企業で働く労働者にも最低賃金を適用すべきです。ただ、おっしゃるとおり、中小企業では、時給千円の支払いを可能とする商品価格やサービス価格を設定しようとしてもできない場合も生まれます。その最大の原因は「大企業の圧迫で下請けや納入業者が適正な価格を設定できない」「大企業からの仕入れで中小企業が差別的価格を押し付けられる」などにあります。いま一つは、国民の所得が伸びず購買力が低迷、売り上げも伸びず、激しい競争にさらされているからです。

 しかし、社会的に最低賃金を定めることは大局的に、国民のふところを温め内需を拡大し、中小企業経営の改善にもつながります。また最賃は、下請け業者が親企業に単価の引き上げを求める基準ともなります。

 中小企業が時給千円を実施できるよう、日本共産党は、大企業による中小企業イジメや「規制緩和」の是正、金融や税制の改善(部分保証の撤回、消費税免税点の引き上げ、家族労働を認める所得税法の改正など)を行うとともに、中小企業への賃金助成などが必要と考えています。実施にあたっては、企業規模に応じ、経過措置も検討すべきでしょう。(吉)

 〔2008・12・13(土)〕


もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp