2008年12月3日(水)「しんぶん赤旗」
タイ憲法裁
与党解党の判決
タクシン派 「クーデター」と反発
【ハノイ=井上歩】タイ憲法裁判所は二日、昨年十二月の総選挙で政党ぐるみの票買収の選挙違反があったとして、ソムチャイ政権最大与党・国民の力党(PPP)など連立与党三党に解党を命じる判決を言い渡しました。ソムチャイ首相と三党の役員は被選挙権を五年間はく奪されました。ソムチャイ政権は発足からわずか二カ月半で崩壊に追い込まれました。
タイ憲法裁は九月にサマック前首相を失職させたのに続き、選挙を通じて成立したタクシン元首相派の政権を二代連続で崩壊させたことになります。憲法裁の判事は、反タクシン派で固められているとされています。憲法裁判事はタクシン政権を倒したクーデター後の暫定軍事政権下でできた憲法の規定で任命されています。
バンコクからの報道によると、タクシン元首相派の市民団体「反独裁民主同盟」は二日朝から、憲法裁前で抗議行動を実施。親政府派は連立与党側の提出証拠が審理されなかったとし、解党命令は司法による「政権打倒の陰謀」「形を変えたクーデター」だと強く反発しています。今後親政府派による抗議行動の拡大が予想されます。
タクシン派は九月にPPP解党後の受け皿として新党「タイ貢献党」を結成しており、PPPなどタクシン派の議員は同党に移籍する予定。政府スポークスマンは同日、議員の新党移籍後に新たに連立を組み、新首相を選出すると語りました。
政権打倒を掲げる「民主主義市民連合」(PAD)が占拠するドンムアン空港のターミナルビルでは二日未明、爆弾が爆発しPAD支持者一人が死亡、二十二人が負傷しました。報道によると、タイ観光当局はPADによる空港閉鎖で三十五万人の観光客が国内に足止めされているといいます。