2008年11月29日(土)「しんぶん赤旗」

輸出の見返りのコメ輸入 仕方がないのでは?


 〈問い〉 日本はアメリカに自動車や電化製品を輸出しているので、その見返りに米を買わなければならないのではないかという人がいますが、日本共産党はこの意見をどう考えますか。(東京・一読者)

 〈答え〉 たしかに歴代の自民党政権はそういう考え方で“国づくり”を進めてきました。その結果、大量の工業製品が輸出される一方、農産物はアメリカ産などに次つぎにあけ渡され、食料自給率は40%に低下してしまいました。とりわけ、米まで本格的に輸入するようになった1995年以降、農業の荒廃が一気に広がり、いまや崩壊の瀬戸際に追い込まれています。

 米や稲作は、民族の主食であり、国土や環境をまもり、文化や伝統をはぐくんできた国民のかけがえのない財産です。農業や水田は、国民の生存基盤そのものであり、日本社会の不可欠の要素で、他に代替はできません。自動車などの輸出拡大のためには仕方がないという考え方で、それを手放してしまうことはできません。

 しかも、21世紀の世界は、世界的に食料不足が明確となり、「金さえだせばいつでも輸入できる」時代ではなくなっています。食料は、工業製品の輸出で稼いだ金で外国から買えばいい、という安易な考えは通用しなくなっています。また、日本が米輸入を続けることは、国際相場の高騰に拍車をかけ、米不足に悩む途上国に飢餓を輸出することにもなります。この点からも、アメリカへの自動車輸出の見返りに、国内で必要のない米を輸入し続けることは、国際的にみても許されません。

 工業製品の輸出拡大を最優先する“国づくり”は、市場原理一辺倒の小泉「構造改革」以降、農業への犠牲だけでなく、「競争力強化」の名で労働者には低賃金や長時間労働、不安定雇用を押しつけ、下請け中小企業へのしわよせ、社会保障の切り捨てなどと一体で推進されました。このもとで、一部の輸出大企業は空前の利益を得ましたが、多くの国民の所得は低迷し、暮らしは苦しくなる一方でした。しかもその結果として、内需が冷え込み、経済の足を引っ張り、日本経済そのものを脆弱(ぜいじゃく)な体質にしてきたのです。

 日本共産党は、日本経済の発展を展望しても、いまわが国の経済政策に求められるのは、大多数の国民の暮らしを第一にし、「外需頼み」から内需主導に、そして大企業から家計・国民へ、軸足を大きく転換することだと考えています。農業や中小企業を大事にする政策への転換はその不可欠の要素です。(橋)

 〔2008・11・29(土)〕


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