2008年11月18日(火)「しんぶん赤旗」
主張
連続マイナス成長
内需の主役、家計の応援こそ
国内総生産(GDP)が二期連続でマイナスに落ち込みました。
物価上昇が家計を圧迫すると同時に所得が減って消費が増えず、企業の設備投資の減少が続いています。内需が低迷するとともに、低調な輸出が輸入を下回り、貿易が成長率の足を引っ張りました。
与謝野馨経済財政相は記者会見で、「景気の状況はさらに厳しいものとなるリスク(危険)が存在する」とのべています。
弱い立場ほど過酷に
財界やマスメディアは大企業の利益が減ると騒いでいますが、景気悪化で最も深刻な被害を受けるのは、内需の大半を占める庶民の家計であり中小零細企業です。
物価上昇や大企業の人減らし・リストラは庶民の家計を直撃し、低所得層ほど生活費に食い込んで暮らしを脅かしています。
トヨタが減益だといっても、まだ六千億円もの利益を見込んでいます。中小企業は原料が高騰しても価格に転嫁できず、親企業・銀行には締め付けられ、存続そのものが危機にさらされています。
不況は庶民や中小零細企業など弱い立場であればあるほど、より過酷な打撃を与えずにはおきません。景気悪化は経済に極めて逆進性の強い被害を及ぼします。
とりわけ今回の不況では、アメリカ発の金融危機が本格化するはるかに以前から、家計は冷え込み続けてきました。派遣や請負など不安定な雇用が若者・女性の二人に一人まで広がり、大企業は労働分配率を大きく引き下げています。家計には増税や社会保障の改悪が押し付けられてきました。
中小企業は上からは大企業の下請け単価たたき、下からは国内需要の低迷に挟み撃ちに遭っています。さらに自公政府が昨年十月に強行した、中小企業の資金繰りの“命綱”である信用保証制度の改悪によって、早い段階から貸し渋りに苦しめられてきました。
内閣府の調査によると、すでにことし六月の時点で、生活不安を感じる人が七割を超えて過去最悪になっています。信用調査会社の帝国データバンクによると、中小企業の倒産件数は三月、七月、十月と最多を更新しています。
こんな状況にもかかわらず、財界をリードする大企業が先頭に立って、派遣や期間社員の大量解雇に動いています。大銀行が率先して中小企業への貸し渋りに走っています。
大企業は最高益を過去五年にわたって連続で更新し、二〇〇〇年以降に五十七兆円も内部留保を増やしました。その一方で派遣や期間社員は正社員の半分以下の賃金で働かされ、貯金さえできず、多くは解雇されれば路頭に迷うしかない若者たちです。何のための政治か、その根本責任にかけて、これら大企業・大銀行の身勝手を絶対に許してはなりません。
消費税に頼る姿勢では
景気悪化から暮らしと営業を守る上で、見過ごせないのは麻生太郎首相が明言した三年後の消費税増税の方針です。
不況の逆進的な影響で最も深刻な被害を受ける庶民と中小企業を、最も逆進性の強い税金の増税によって将来まで痛めつけることになるからです。
庶民の家計と中小企業は内需の主役です。大企業・大銀行の身勝手を許し、消費税増税に頼る姿勢では外需頼みのぜい弱な経済を変えることはできません。