2008年11月17日(月)「しんぶん赤旗」

カジノ資本主義批判

金融サミットに反映

影響力増す新興国■求められる新秩序


 G20金融サミットが十五日に採択した「宣言」は、危機をもたらした米国流の「カジノ資本主義」の問題点に迫る内容です。各国は今後、米国が運営を牛耳ってきた国際通貨基金(IMF)の改革をはじめ、新たな国際金融体制の構築へ向けた迅速な行動が求められます。(ワシントン=西村央)


 「宣言」は危機原因について、金融機関がリスクを顧みずに高利回りを求めたこと、規制・監督にあたる当局がリスクを適切に評価しなかったことを指摘。「共同原則」としては、透明性と説明責任の強化、適切な規制の強化、国際的な金融機関の改革などを提起しました。

IMF改革浮上

 初の開催となったG20での焦点の一つは、IMF改革でした。

 これまでその運営は事実上米国に握られ、各国への融資と引き換えに規制緩和や民営化など米国流の新自由主義的な政策が押し付けられてきました。今回も米国型資本主義が生んだ「投機的金融商品」が世界にばらまかれ、混乱を広げました。

 そのため、「国際金融システムを確固なものとし、すべての国の繁栄につながるような根本的な改革に取り組む時である」(スティグリッツ米コロンビア大学教授)との指摘が出ています。

 G20終了後の会見で、フランスのサルコジ大統領は、ドルを基軸通貨とすることで合意した一九四四年のブレトンウッズ体制に替わる新たな金融体制に向けて「改革を求める」と表明。来年四月にも予定される次回会合でこれを論議する意欲を示しました。

現状固執の日米

 ブッシュ米大統領は新自由主義経済続行の発言を繰り返しています。日本の麻生首相も「ドルの基軸通貨としての地位の維持」を新興国との首脳会談で主張し、米を側面援助する構図です。

 今回集ったG20は世界の人口の75%を占め、経済・貿易では約90%の影響力を持っています。

 もはや主要資本主義の七カ国(G7)だけが国際金融を動かす時代ではありません。IMFの二〇〇九年の経済成長予測でも、G7が0・14%なのに対し、インド、ブラジルなど新興諸国の側が6%と格段に高くなっています。こうした構造変化のなかで、新たな国際的金融体制の確立が求められています。

 今回の「宣言」によって、ドル主軸体制の米国主導の現状をどう改革していくのかについて、スタート地点に立ったといえます。



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