2008年11月17日(月)「しんぶん赤旗」

政府・与党の追加経済対策

誇大広告 次々判明

介護保険料増抑制は限定的


 政府・与党が追加経済対策(十月三十日発表)に盛り込んだ介護政策で、“誇大広告”が次々に明らかになっています。

 同対策に盛り込まれた「介護保険料の上昇抑制策」が、限定された対象者向けのごく短期間のものでしかないことが厚生労働省の説明などから分かりました。

 追加経済対策では、「介護従事者の処遇改善」などのため、二〇〇九年四月から介護報酬を3%引き上げる方針を決定しました。介護保険制度は報酬を引き上げると保険料も上がるしくみのため、「保険料の急激な上昇を抑制」することもうたいました。厚労省は千二百億円程度の国費を投じる案を示しています。(十月三十一日)

1年目だけ

 しかし、報酬引き上げによる保険料上昇分全額を国費でみるのは〇九年度の一年だけ。一〇年度は国費を半減するため、その分の保険料がアップします。一一年度からは国費がゼロになり、まるまる保険料が引き上げられます。(図)

対象外しも

 しかも「被保険者の負担を軽減」といいながら、対象は被保険者全員ではないことが、十四日の厚労省社会保障審議会介護給付費分科会で明らかになりました。

 厚労省がもれなく対象としているのは六十五歳以上の第一号被保険者だけ。第二号被保険者(四十―六十四歳の医療保険加入者)については、「特に財政の厳しい保険者団体」に限ると説明しました。対象は第二号被保険者の半数程度になるとしています。

 介護保険料全体のうち、第二号被保険者が支払う部分が62%を占めます。その半分が対象から外れるということは、全体の約三分の一が対象外だということです。

 十月三十一日に厚労省が公表した資料には、第二号被保険者にも「同様の措置を講じる」と記されていました。同分科会では、「資料は間違いということか」と委員が質問。厚労省側は「不正確だった」と認めました。

 3%の報酬引き上げで介護労働者の給与が「月二万円アップ」すると「経済対策」に明記した根拠も揺らいでいます。厚労省側は「介護報酬は事業者に支払われる。3%の引き上げで給与が一律一定金額引き上がるとは限らない」と説明し、「二万円アップ」を事実上打ち消しました。

 そもそも政府・与党の対策は、介護現場から「3%の報酬引き上げでは焼け石に水だ」と批判が噴出しているものです。そのうえ実際の内容と異なる過大な宣伝をして国民をあざむくのはやめるべきです。(杉本恒如)

図

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