2008年11月16日(日)「しんぶん赤旗」
待ったなしの温暖化対策
本試合から逃げる産業界
かばう公明環境相
「正式な大会に出ない、練習試合も渋っていた野球チームを、まず練習試合に出させたというのは大きな一歩と評価いただきたい」
これは、斉藤鉄夫環境相(公明党)の十三日の参院環境委員会での発言です。問題にしたのは、どこかの野球部の話ではありません。世界トップクラスの資本力を誇る日本の大企業が、二酸化炭素(CO2)の排出量取引制度に反対している問題です。
政府は、産業界の顔色をうかがい、同制度の本格実施ではなく、来年一月からの「練習試合」=試行実施を決めました。
しかしこれは、参加するのも自由なら削減目標の設定も自由、目標が未達成でも罰則なしという、企業にとっては痛くもかゆくもない中身です。
日本共産党の市田忠義書記局長は同委員会で、効果がないとの批判が経済界からもあると指摘。「練習試合に参加したから本試合に出るとは限らない。試行実施は、産業界の現状を容認したものだ」と斉藤環境相に迫りました。
地球温暖化防止は待ったなしの課題です。日本は、京都議定書で二〇一二年までに一九九〇年比で6%の温室効果ガス削減を約束しながら、逆に8・7%(〇七年度速報値)も増加。日本経団連は同日、京都議定書の骨抜きを狙った提言まで発表しています。
斉藤環境相も就任当初は「排出量取引が成功するかどうかは、日本が二十一世紀に福祉国家として生き残れるかどうかの大きな試金石」(八月三日)とまで述べていたのですが…。(亮)