2008年11月12日(水)「しんぶん赤旗」

キューバ経済封鎖とは?


 〈問い〉 国連のキューバ経済封鎖の解除決議に185カ国が賛成したとのことですが、この経済封鎖に米国以外でかかわっている国は? 日本の態度は?(奈良・一読者)

 〈答え〉 米国のキューバ経済封鎖は、経済圧力によって、米国のいう「民主主義」にキューバの体制を移行させることが目的です。異常なのは、経済封鎖を半世紀近く続け、さらにキューバとの貿易制限・禁止を他国にも強要している点です。まさにキューバの主権と関係各国の主権を二重に侵害しています。

 この経済封鎖の解除を求める決議が国連総会で10月29日、日本を含む185カ国の圧倒的多数で採択されました。米国、イスラエル、パラオの3カ国が反対し、マーシャル群島とミクロネシアが棄権しました。同様の決議は1992年に賛成59カ国で初めて採択されました。連続17回目の採択となった今年の賛成国数は過去最高です。

 米国は19世紀初頭からキューバ併合・干渉政策を強めてきました。1902年に独立したキューバの憲法には米国の内政干渉権と軍事基地保有権が付加されていました。米資本は59年のキューバ革命まで基幹産業や公益事業のほとんどを支配していました。キューバは米国の典型的な「裏庭」でした。

 米国は61年、反革命部隊に武力侵攻させましたが、失敗。62年から経済封鎖を実施し、輸出入を全面禁止しました。

 さらに米国は90年代、キューバ寄港の船舶に対する百八十日間米寄港禁止などを課す「キューバ民主主義法(トリセリ法)」と「キューバの自由と民主主義連帯法」でいっそう封鎖を強化しました。キューバ政府によると、62年以来の経済封鎖による損害は930億ドルに上ります。

 日本政府は92年、当時の駐キューバ日本大使が「日本政府は、第三国に影響を及ぼす条項を含んでいることから、トリセリ法に関心を持っている」とし、米国内法の国外適用は国際法で許されていないとの立場を米政府に伝えていると述べました。

 しかし、日本政府は96年までは国連決議に棄権し、賛成に転じたのは97年からです。その背景として、前年12月に起こったペルーの日本大使公邸人質事件でキューバ政府が「人道的見地」から武装勢力の受け入れを表明し、両国関係が改善し始めたことが指摘されています。

 国連総会での討論では、キューバの体制を転換させる策動は自決権をうたっている国連憲章を踏みにじっていることや、米国内法の第三国への適用は国際法違反だという点が共通しています。国連総会の決議に強制力はないとはいえ、米国が国際社会の総意を無視し続けていることも強く批判されています。(松)

 〔2008・11・12(水)〕


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