2008年11月8日(土)「しんぶん赤旗」

金融危機で欧州自動車

相次ぐ人員削減計画

労働者は抗議行動


 【パリ=山田芳進】金融危機からくる需要の低下を理由に、欧州の自動車産業は減産を計画しています。その結果、工場の一時閉鎖などの決定が相次ぎ、労働者は抗議行動に立ち上がっています。


 欧州各地では今年の新車売上台数が軒並み減少。スペインでは一月から十月までで24%減、イタリアでは18・9%減、フランスでは去年十月からの一年間で、7・3%減などとなっています。

 売り上げ減を受けて、PSAプジョー・シトロエンは、第四・四半期の生産三割減を、またルノーは同時期の二割減をそれぞれ発表しました。また両グループとも、来年度の売り上げ予測はできない状況です。

 減産計画に沿う形で、PSAのレンヌ工場では、十二月から一カ月間の生産中断を決定。また同系列のオートバイ製造工場では、年末にかけて製造ラインの労働者を十二日間、自宅待機させます。

 しかし同工場の労働総同盟(CGT)は、景気悪化は「言い訳にすぎない」と指摘。「生産の70%をアジアに移転していなければ、ここでの生産活動は続けられた」と経営側を批判しています。

 ルノーではすでに七月、フランス全土で五千人に及ぶリストラ計画を発表していました。さらに、その後起きた金融危機により、各地の工場で自宅待機などの措置が決定され、追い打ちをかける形になりました。

 三千七百人の従業員のうち千人が「自主退職」の対象となった北西部サンドビルの工場では十月、計画に反対する労働者が工場入り口にピケを張るストを行うなどの抗議行動を展開。同月六日にはサルコジ大統領が工場を訪問し、同工場は「閉鎖しない」と宣言するなど、事態の収束を図りました。

 フィヨン首相は先月三十日、米国政府が自国の自動車業界に二百五十億ドルの政府保証付き低利融資を決めたことを受け、欧州も自動車業界の危機を乗り越える手段をとるべきだと主張、欧州委員会に対策を求めたと述べました。

 ナンテールの裁判所では七日、CGTの求めで、自動車大手ルノーによるリストラ計画の無効を求める審理が始ります。


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