2008年11月7日(金)「しんぶん赤旗」

新金融機能強化法案と保険業法改定案への

佐々木衆院議員の反対討論


 日本共産党の佐々木憲昭議員が六日の衆院本会議で行った、新金融機能強化法案と保険業法改定案に対する反対討論は次の通りです。


 まず、最初に、金融機能強化法改正案についてであります。

 本法案に反対する理由は、第一に、国際的な金融危機のもとで、投機的な資金運用に乗り出し自己資本を棄損した日本の金融機関を、公的資金を使って応援するものとなっているからであります。

 わが国は、一九九六年の住専処理以来、四十六兆円を超える公的資金を金融機関に投入し、十兆円以上の国民負担を発生させたのであります。公的資金を使った巨額の資本増強をはじめとする銀行甘やかし政策が、「失敗しても最後は税金で救ってくれる」という安易な依存心を生み出しました。

 それが、「貯蓄から投資へ」という旗印のもとですすめられた金融の規制緩和政策ともあいまって、今日のような投機活動に傾斜した銀行・金融機関を生み出す一因となったのであります。

 ほんらい、金融安定化の資金は、金融業界全体の責任と負担で確保すべきものであります。そうしてこそ、金融業界に自己規律を生み出し相互監視機能を強めることにつながるのであります。

 アメリカでは、「緊急経済安定化法」が成立しましたが、最終的損失を国民に回す日本とは根本的に違う仕組みになっているのであります。五年後に純損失が生じた場合、大統領が銀行業界に負担をもとめる法案を出すものとなっております。

 わが国の法案は、公的資金を投入する仕組みを復活させ、投機で失敗しても国民の税金で救済されるという、新たなモラルハザードを生み出すものとなっており、到底、容認できるものではありません。

 反対する第二の理由は、本法案による資本注入が、銀行の貸し渋り対策となる保証がないことであります。実績を見ていただきたい。過去十二年間に十二兆四千億円もの資本注入が行われました。しかし、銀行業界全体で八十四兆円も、中小企業向け融資が削減されたのであります。公的資金による資本注入が、貸し渋り対策につながらなかったことは、この事実からも明らかではありませんか。

 さらに、本法案では、中小企業向け貸出残高など、地域経済貢献目標が未達成の場合、株主責任や経営責任を問う「現行法の仕組み」を削除しております。これは、目標達成をいっそうあいまいにするものとなっています。本法案の資本注入が、貸し渋り対策として機能する保証はありません。

 いま求められているのは、貸し渋りや貸しはがしをすすめている金融機関の姿勢を正すことです。銀行が自分の利益のみを優先させ、中小企業がつぶれても当然とする姿勢、リスクをとろうとしないこの姿勢を改めさせることこそ肝要であります。

 また、中小企業を直接支援する政策を進めることが必要です。信用保証制度の責任共有制度の導入や政府系金融機関の弱体化など、この間政府が行ってきた施策を根本的に見直すことを求めるものであります。

 最後に、保険業法改正案についてです。

 保険契約者保護制度は、保険会社の破たん時に機構が資金援助等を行うことにより破たん保険会社の保険契約者等を保護する仕組みであります。ほんらい、その費用は保険業界全体で負担するのが原則であります。

 大和生命の破たんを含め、これまでの保険会社破たんの背景には、過度の高リスク金融商品での運用、生保不信による解約増、バブル期の乱脈経営などがあります。

 こうした経営責任と監督責任をあいまいにしたまま、税金投入する仕組みを残せば、業界と政府のモラルハザードをまねきます。責任のない国民に、破たん保険会社の損失を無制限に負担させる、このような仕組みを延長する本法案には、反対であります。



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