2008年11月5日(水)「しんぶん赤旗」

主張

アフガン・ヘリ派遣

戦争支援の拡大は許されない


 海上自衛隊のインド洋での給油支援を継続する新テロ特措法延長法案の審議のなかで、陸上自衛隊の輸送ヘリをアフガニスタン本土に派遣することを政府が目指していることが明らかになりました。

 浜田靖一防衛相は、ヘリのアフガン派遣を求めた与党の質問に答えて、CH47輸送ヘリを整備、改修し、国際平和協力活動に「貢献できる体制をつくっていきたい」とのべました(十月二十八日参院外交防衛委員会)。全土が激戦地のアフガン本土へのヘリ派遣は文字通り戦争支援で、憲法に違反します。民間人の犠牲者増大に手を貸すことにもなります。

どこも戦闘地域

 防衛省は来年度予算の概算要求に、CH47の底に防弾板をとりつけ、エンジンを高出力化して機能を強化する計画をもりこんでいます。アフガンで、地上攻撃に耐え、高い山岳地帯や高温地帯で作戦行動するための大改修です。

 米政府は、アフガン戦争の泥沼状況を軍事力強化で乗り切るため、同盟国に部隊や装備の増強と新規提供を求めています。ISAF(国際治安支援部隊)と米軍・NATO軍連合部隊の双方を率いているマキャナン司令官(米陸軍大将)は、「部隊、ヘリ、装備、後方支援、輸送」をだせと、圧力を強めています(十月十二日)。

 ヘリ改修計画は、米政府のヘリ派遣要求に応え、政治状況次第で新法をつくり、ヘリを派遣できるようにしておくのが狙いです。対米追随の異常さを示しています。

 日本政府が六月八日から十八日にかけて、アフガン本土に調査団を送り、戦争支援についての調査をしたのも、こうしたアメリカの圧力に応えたものです。しかし、アフガンには「敵との接触が起きない場所があるとは保証できない」とのマキャナン司令官の発言(七月十六日)を待つまでもなく、全土が戦闘地域であることは明白です。ヘリ派遣ができるはずもないのに、調査団を送り、ヘリ派遣に備えるのは許されません。

 米政府がヘリ派遣を求めるのは、米兵や米軍物資を輸送させ、米軍作戦の一翼を担わせるためです。全土が戦闘地域のアフガンでのヘリ輸送は、米軍の武力行使と一体化した軍事行動そのものです。

 他国の武力行使と一体化した行動は憲法違反だというのが日本政府の見解です。四月のイラク派兵差し止め訴訟の名古屋高裁判決(確定判決)も、戦闘地域であるバグダッドでの米軍に対する空輸支援を「米軍の武力行使と一体化した行動」「自らも武力行使を行ったとの評価を受けざるを得ない」と断じています。

 政府の見解と確定した判決に照らし輸送支援は憲法違反です。武器の使用を伴わなければいいかのような議論は通用しません。政府はヘリ部隊のアフガン派遣に備える動きを中止すべきです。

対米追随やめてこそ

 米政府が戦争支援の拡大を日本にせまるのは、日本が給油支援の継続と戦争支援の態度に固執しているからです。異常な対米追随姿勢が米政府の要求を加速しているのです。抜本的転換が不可欠です。

 アフガニスタン政府も国際社会も、アフガン問題の政治解決のため動きだしています。新テロ特措法の延長を断念し、戦争支援ではなく外交的役割を果たしていくことを日本はめざすべきです。



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