2008年11月3日(月)「しんぶん赤旗」

ゆうPRESS

踊る弁護士

憲法ミュージカル来年も


 3日は「文化の日」、憲法が公布された日です。今年4月から6月にかけて、弁護士100人が呼びかけた「LIVE! 憲法ミュージカル」が全国12カ所で公演し、大成功をおさめました。出演者は一般市民から公募。憲法を学びながら練習を重ね、広める取り組みです。来年の公演に向け、若い弁護士らが中心となって準備がスタートしています。平井真帆


 「ケンポーミュージカルって、健保のミュージカルですよね」

 昨年のオーディションで若い女性の言葉に、スタッフ陣はのけぞりました。

 始まりは数年前のこと。憲法を変えようとする動きが強まる中、弁護士の小林善亮さん(34)=2009年憲法ミュージカル実行委員会事務局長=は危機感を抱いていました。

 憲法を守ろうと集会や学習会を開いても、「同じ顔ぶればかり。これでいいのだろうか」。

 憲法の大切さを多くの人に広げたい。特に若い人たちに共感してもらえる方法はないものか。同じ問題意識を持つ弁護士仲間で悩むこと2年。浮かんだのが「ミュージカル」でした。

 2007年、小林さんら若手弁護士10人が呼びかけて、東京での公演が好評を得ました。その成功が力になり、2008年は、100人の弁護士が呼びかけ人に名を連ねました。

 公募で集まった一般市民は各地域100人、総勢300人。大阪、東京、山梨の3都府県、12カ所で公演し、1万6千人が参加する一大イベントに発展しました。

憲法に近づく

 08年公演は、かつて日本軍の占領下にあったフィリピンで、13歳で「慰安婦」にされた実在の女性をモデルにした作品(ロラ・マシン物語 田中暢脚本・演出)でした。

 「『慰安婦』の立場になって擬似体験したような感覚。物語だと分かっていても、実際に起こっているような恐怖感があった」。出演したさおりさん(19)は、こう振り返ります。

 出演者は本番までに勉強会やプレ企画を重ね、戦争とはどういうものだったのか、理解を深めていきました。

 役になりきって、「侵略する側、される側の気持ち」を想像する。声高に「憲法を守ろう」と叫ぶことはなくても、憲法が守っているものが身近に感じられました。

 「ケンポーって何?」と言っていた若い人が、歌い踊るミュージカルの魅力で「憲法」に近づいてくるのは、まさに小林さんらの期待通り。

 「誰ひとり欠けても作品は成立しない。すべての人の尊厳が尊重される、という作品のつくられ方そのものが、とても『憲法的』なんです」と、小林さんはその魅力を話します。

来年は11月に

 「諫早湾のムツゴロウを描いた寓話(ぐうわ)劇で、国民をだます国のやり方を暴いてやれないか」。10月、都内で開かれた「憲法ミュージカルをまたやるぞ会議」で、演出家の田中暢氏は、次回作の構想を明らかにしました。

 来年の公演は11月ごろの予定です。

 小林さんらの願いは―。「平和が大事だ、にとどまらず、そのことが憲法に書かれているということを、ミュージカルを通して知ってもらいたいですね」


募集しています公演サポーター

◆実行委員会では、憲法ミュージカル上演を支援する「公演サポーター」を募集しています。

◆サポーターに登録すると公演までの間、ニュースが届き、オーディションの日程、プレ企画情報などを知ることができます。会費は1口3500円です。

◆希望者は、(1)名前(2)住所(3)メールアドレス(4)電話番号を記入した申込書(書式は自由)を、「LIVE! 憲法ミュージカル実行委員会事務局長 小林善亮」あてにファクス(042・524・4093 三多摩法律事務所内)で送ってください。

◆問い合わせは、実行委員会(電話 042・524・4321 同事務所内 小林さん)まで。


お悩みHunter

労組つくりたいのに異論も出て

  いま勤めている会社は、とても達成できないノルマを社員に課して、できないと「自己責任だ」と言って、残業代も払わずに休日出勤や残業をやらせます。同僚と労働組合をつくろうと話し合っていますが、「社長に、にらまれたら怖い」「転職先を見つけた方が手っ取り早い」といった意見が多くて、まとまりません。(29歳、男性)

信頼関係つくって熱く語ろう

  労働組合が結成できたらステキですね!

 組合をつくるということは、労働者が、自分の力で職場を変えようと手を結び合うこと、これは働く者が真に「職場の主人公」になる第1歩ではないでしょうか。

 でも、その1歩を踏み出すにはやはり知恵と勇気が必要です。

 まず、労働者には、残業代を請求できる権利、正当な権利を主張しても解雇されない権利があること、そして、組合をつくっても不利益を受けない権利、組合には団体交渉できる権利などがあること、さらに、その権利を行使して実際に職場を改善した実例を学習しましょう。(労働組合に行けば、すぐに教えてくれます)

 そして、その学習した成果をあなたが熱く語ること、同時に(いえその前に)、あなたが同僚の悩みに真剣に耳を傾けて信頼関係をつくることが重要です。

 あきらめないで、困難な状況を、力を合わせて自分たちの力で変えていくことが、すごくかっこいい生き方だって思ってもらえたら、きっと成功します。

 仮に、すぐに仲間ができなくてもがっかりしないでください。1人でも入れる労働組合がありますから、そこにまずあなたが加盟して、「第1歩」を踏み出してください。


弁護士 岸 松江さん

 東京弁護士会所属、東京法律事務所勤務。日本弁護士連合会両性の平等に関する委員会委員。好きな言葉は「真実の力」。



■関連キーワード

もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp