2008年10月30日(木)「しんぶん赤旗」

米のシリア攻撃拒否

イラク政府 領土使用させない


 【カイロ=松本眞志】イラク政府は二十八日、米軍にシリア越境空爆の再発防止を求めて、他国への攻撃に自国領を使用させないと宣言しました。事件は二十六日に発生し、国境付近の住民八人が犠牲になっています。

 イラク政府のダバグ報道官は声明で、「政府の方針の一環として、米軍機によるシリア領内への攻撃を拒否する。イラク憲法は駐留外国軍が隣国を攻撃するためにイラク領土を使用するのを認めていない」と主張。シリアとの関係改善のために同国の政府代表を招待する考えを表明しました。

 イラク政府は当初、自国領内に侵入する武装勢力掃討のための措置として米軍の空爆を正当化していました。しかし国内での米軍の行為に対する批判の高まり、連邦議会の政府に対する調査の要求などによって態度を変化させました。

 事件は域内外で怒りと不安を呼び起こしています。エジプト政府は米軍の行為を「重大な主権侵害」と非難。カタール政府は「国際法の原則と国連憲章違反」と指摘し、シリアの主権尊重と領土の保全を訴えました。欧州連合(EU)のソラナ上級代表は、民間人を犠牲にした米軍作戦に懸念を示しました。


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