2008年10月9日(木)「しんぶん赤旗」

主張

アフガン戦争7年

いまこそ和平に向けて努力を


 米国がアフガニスタンへの報復戦争を開始して七年。アフガン情勢がますます混迷を深める中、軍事力で問題は解決できないとする見方が国連や地上軍を派遣している国ぐににも広がっています。

 麻生太郎首相は「国際社会の一員たる日本がその活動から手を引く選択はありえない」と述べ、自衛隊によるインド洋での米艦船への給油活動を継続しようと、新テロ特措法延長法案の審議を要求。民主党も採決を容認しました。首相の姿勢は米政府のめがねから事態を見、和平の道には無関心な姿を浮き彫りにしています。

相次ぐ政治解決をの声

 アフガンでの旧政権勢力タリバンの“復活”を前に、ブッシュ米政権は現地米軍司令官らの要請を受けて米軍の増派を進めています。現在展開している約三万二千人の兵力に加え、一万人近くを来春までに派遣しようとしています。大統領選挙を目前にした民主党オバマ、共和党マケインの両候補も増派と軍事対決を主張しています。

 しかし、軍事的に「解決」しようとすれば、軍事作戦とテロの連鎖にいっそう拍車がかかり、民間人にさらに犠牲を強いることになります。それでも「勝利」はおぼつかず、“和平”を構想することはできません。米国は深刻なジレンマに直面しています。

 実際、軍事力で解決するという戦略には、当の米軍内からさえ異論が出ています。マレン米統合参謀本部議長は九月、アフガンで「勝利するとは確信できない」と述べました。NATO(北大西洋条約機構)諸国軍などで構成するISAF(国際治安支援部隊)のマッカーナン司令官(米陸軍大将)は、「究極的には政治的に解決されるものであって、軍事的にではない」と述べました。

 米国と一体で作戦を担ってきたイギリスでは、政治解決こそ必要だとの認識が表面化しています。

 アフガンで半年にわたる作戦を終えたばかりの英軍部隊のカールトンスミス司令官は「この戦争に勝利はない」と明言しました。タリバン側が政治解決のテーブルにつくことが問題解決につながるのであり、「紛争の解決は銃ではなく交渉による、と議論の枠組みを変えたい」と強調しました。

 アフガン駐在のクーパーコールズ英大使は非公式に、米戦略は失敗であり、外国軍の存在そのものが問題だとの認識を示したと報じられています。英各紙は、こうした見方が軍と政府に広がっていることを伝えています。

 エイデ国連事務総長特別代表も六日、軍事勝利はありえないとし、「政治手段によるべきだ」と述べて、紛争当事者間の交渉の重要性を強調しました。

 アフガンのカルザイ大統領自身、サウジアラビアを仲介にタリバンに交渉を呼びかけてきたことを明らかにしました。軍事情勢の激化もあってこれまでのところ進ちょくしていないものの、交渉による和平努力こそが事態打開の道であることはもはや明らかです。

自衛隊派兵は中止を

 日本共産党の志位和夫委員長は衆院本会議の代表質問で、「戦争でテロはなくせなかった」と明快に指摘し、自衛隊派兵の中止を求めました。派兵が憲法違反であるばかりか、軍事対応に固執することは問題解決を模索する国際的な動きに逆行しています。


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