2008年10月6日(月)「しんぶん赤旗」

米原子力空母の放射能放出

政府が見逃す体制

研究者指摘


 日米関係に詳しい国際問題研究者の新原昭治氏は四日、米原子力空母の横須賀母港化の危険性を考える日本平和委員会の学習会で講演し、米軍事作戦での空母の役割の増大と、原子力艦船寄港時の安全確認を放棄した日米合意について、詳細に解明しました。

 この中で新原氏は、二日の衆院本会議で麻生太郎首相が「米海軍の原子力艦は一九六四年以来わが国に寄港しているが、人体や環境に影響を及ぼすような放射能の放出は一件も発生していない」と答弁したことに言及。(1)環境に影響を及ぼす放射能が何回も検出されている(2)日本側による自主的な安全点検を全面放棄する仕組みがつくられている―ことなどを指摘し、首相答弁を批判しました。

 (2)に関して新原氏は、六三年六月六日付の米国務省から在日米大使館あての電報を紹介しました。原子力艦船入港を前に日本側が米側に出した安全確認に関する質問について、同電報は、「日本政府が自主的に安全問題の評価をするに足る情報を、法律・安全保障・政策上の理由から提供できない」と表明。日本側の限定的な要求さえ拒否して、放射能放出をめぐる安全性を日本側が確認できない体制がつくられたことを示しています。

 新原氏は、「災害は小さな事故を見逃すことから生まれる。それを意図的に見逃す体制をつくっているのは政府の大罪だ」と強調しました。



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