2008年10月4日(土)「しんぶん赤旗」

主張

エクアドル新憲法採択

自主独立の国づくりの前進


 南米エクアドルで、新憲法草案が国民投票にかけられ、圧倒的多数の国民が支持しました。弱肉強食の「新自由主義」に代えて社会連帯を基礎に国民生活を向上させる経済をつくる、独立と諸国の平等を基礎に平和の対外政策を追求する―などの新憲法が民主的変革の土台として承認されました。

 エクアドルのコレア政権は「市民による革命の政府」を掲げ、「二十一世紀の社会主義」をめざすとしています。新憲法が国民の圧倒的支持を得たことはエクアドルの進路を確固としたものにするとともに、変革の方向をともにする中南米諸国から歓迎されています。

米干渉の前線基地

 新憲法はエクアドルを「平和の領土」と宣言し、外国の軍事基地・施設の設置を認めないこと、核・生物・化学兵器の生産や保持、通過を禁止することなどを明記しています。

 エクアドルは一九九九年、太平洋岸マンタにある空軍基地を米軍に使用させる協定を結びました。パナマにあった米軍基地の撤去に伴い、米国が求めたものでした。協定は十年間有効で、延長できるとされています。

 拡張された基地には南米でコロンビアに次いで多い米軍兵士が駐留し、麻薬取り締まりを名目に空中警戒管制機(AWACS)や哨戒機、空中給油機などを運用しています。中米エルサルバドル、カリブ海のキュラソーとともに米南方軍の前線作戦基地とされ、南米ににらみをきかせてきました。

 米国はエクアドルに隣接するコロンビアに軍事顧問団を送るなど干渉政策をとっています。米国が地球規模での「テロとのたたかい」を強調する中で、エクアドルではマンタの基地がコロンビアでの米軍作戦に利用され、内戦に巻き込まれるとの懸念が強くあります。今年三月、コロンビアがエクアドル領内に潜んでいた反政府武装勢力コロンビア革命軍(FARC)を空爆した主権侵害事件でも、米軍が作戦にかかわっていた疑惑が浮上しました。

 エクアドルの政治状況は大きく変わりました。コレア大統領は当初からマンタの基地使用協定を延長しない方針を表明してきました。エクアドルの平和運動はさらに、国の主権と独立を確実にするため、外国軍事基地を認めないことを新憲法に明記するよう求め、それが実ったのです。軍事同盟も外国軍事基地もない世界に向かう確かな前進です。

 国民投票の結果は、コレア大統領と与党、政権を支える広範な市民の運動にとって、〇六年の大統領選、〇七年の制憲議会設置の国民投票と制憲議会選に続く四度目の勝利で、変革の着実な進展を示しています。

外国軍事基地の撤去を

 米軍基地撤去の運動には多彩な市民団体・運動が参加し、〇六年にコレア政権を生み出した社会運動の柱の一つとなりました。

 〇七年にはマンタで、日本平和委員会をはじめ世界の外国軍事基地撤去の運動が参加して「外国軍事基地撤去国際大会」を開き、国際的なネットワークづくりに発展しています。

 エクアドルでの基地撤去の運動の著しい発展とその成果としての新憲法の採択は、外国軍事基地の撤去をめざす世界の運動を一段と加速するものです。


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