2008年9月30日(火)「しんぶん赤旗」

エクアドル新憲法承認

変革望んだ国民

大企業優先を拒否


 【キト=島田峰隆】二十八日にエクアドルで行われた国民投票で圧倒的多数の国民が新憲法案を承認したことは、国民の多くが大企業や銀行の利益を最優先する新自由主義路線の復活を拒否し、コレア政権による国民本位の変革のいっそうの前進を望んでいることを示しました。


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(写真)新憲法案が承認され歓声を上げる市民=28日、キト(島田峰隆撮影)

 エクアドルでは一九九〇年代、国際通貨基金(IMF)からの融資条件として、新自由主義の構造調整政策が押し付けられました。この政策を制度化したのが一九九八年改定の現行憲法でした。

 現行憲法下で、公共サービスの民営化、公務員の大量解雇、公共料金値上げ、税金による銀行救済、金融自由化、不安定雇用の拡大など、国民犠牲の政策が相次ぎました。

医療の無償化

 新憲法案は、九八年憲法とは対照的に、経済体制を「社会的、連帯的」とし、市場に対する国の管理を強化。無償の教育や医療、不安定雇用の禁止など新自由主義路線を転換する内容です。コレア大統領は「過去への後戻りか、新自由主義を葬るのか。争点は二つの発展モデルの選択だ」と訴えました。

 コレア政権は、新憲法案の承認に先立って、その内容を反映した措置を実施してきました。学校や病院の増設、銀行に対する規制強化、大企業への過剰な税控除の廃止、派遣労働の禁止などです。

 こうした姿勢が「コレア政権は国民を大事にする。この変革なら賛成だ」(四十八歳の男性)など新憲法案への理解を広げました。

 旧政権指導者や大企業関係者は「私有財産が奪われる」などと攻撃。しかし新自由主義の害悪を長年経験した国民にはまったく通用しませんでした。

無数の討論会

 新憲法が徹底した国民参加でつくられたことも注目されます。制憲議会での起草にあたっては、国民が直接声を寄せる仕組みが設けられました。選挙中も全条文を収めた冊子やビラが配られ、討論会やシンポジウムが無数に開かれました。

 民放テレビの解説者は、「これほど大規模に国民が議論して憲法をつくったことはエクアドル史上初めてだ」と語りました。


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