2008年9月30日(火)「しんぶん赤旗」

3600万人加入政管健保改変

あすから「協会けんぽ」に

窓口統合に「不便」の声


 中小企業の労働者が加入する政府管掌健康保険(政管健保)が十月一日、国(社会保険庁)の運営から切り離され、新たに設立される公法人「全国健康保険協会」管掌の健康保険(通称「協会けんぽ」)へと移行します。


 政管健保は約三千六百万人が加入する日本最大の公的医療保険。多くの加入者を抱える組織の改変にもかかわらず、国民にほとんど知られていません。

 新たなしくみでは、いままで社会保険庁が全国一体で運営していたものが、四十七都道府県ごとにつくられる協会支部の運営に変わります。

 保険料率は、これまで全国一律8・2%(労使折半)でしたが、今後は都道府県ごとに、かかった医療費などをもとに独自に設定します。新たな保険料率は来年九月末まで決められる予定。「保険料格差」が生じるしかけをつくり、「医療費抑制」競争を都道府県に迫るものです。

 傷病手当金などの給付手続き、任意継続(退職後も二年間は元の職場の健康保険に加入できる制度)の申請手続きも変わります。これまで都道府県ごとに複数ある社会保険事務所の窓口で受け付けていましたが、十月一日からは一カ所に集約されます。東京都の場合、二十八カ所の社会保険事務所でおこなっていた業務が一カ所になります。

 ある事業者の担当者は「いままでは近くの社会保険事務所に足を運べば手続きができた。今度は遠くの支部へ郵送手続きをすることが原則になる。不便になるとしか思えない」と批判します。

 厚生労働省によれば、当面は社会保険事務所の窓口に書類を提出すれば協会支部に転送したり、「協会けんぽ」職員が巡回業務で相談に応じる体制をとるとしています。しかし、この措置も「状況をみながら」(厚労省)としており、いつまで続くかは定かではありません。窓口での混乱も予想されます。

 今回の改悪は、後期高齢者医療制度の導入とともに、二〇〇六年の医療改悪法に盛り込まれ、自民・公明の与党の賛成多数で強行したものです。



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