2008年9月26日(金)「しんぶん赤旗」

米原子力空母入港

破たんした「安全」宣伝

“偽りの歴史”重ね


 二〇〇八年九月二十五日、米原子力艦船として初めて横須賀に配備された原子力空母ジョージ・ワシントン。艦名の由来である初代米大統領ワシントンは正直な人物だったともされていますが、横須賀への空母配備の歴史は、その名に反した偽りの歴史です。

 「空母の配備ではなく、(空母乗組員の)家族居住計画」「空母の配備はおおむね三年」…。一九七三年、日本政府はこのようなごまかしで横須賀への空母配備を容認。以来、米空母は三十五年間にわたって居座り続けてきました。この間、米空母は湾岸戦争やイラク・アフガニスタン戦争での「対テロ」戦争への出撃を繰り返しました。

 政府はこれを黙認するばかりか、「(空母母港化で)新たな施設は必要ない」という言明に反して、五千億円近い「思いやり予算」で住宅や修理施設などを整備。横須賀基地の地球規模での出撃拠点化を支援してきました。

 その偽りの歴史に新たなページが加えられました。原子力空母の「安全性」という偽りです。

 ウィンター米海軍長官は米軍横須賀基地での記者会見で、「(1)米原子力艦船の安全についての歴史的な記録(2)(空母の)厳格な設計(3)質の高い訓練を受けた乗組員―の三点で、ジョージ・ワシントンの安全性に自信を持っている」と述べました。

 しかし、これらはすでに偽りが実証されています。米本土では原子力空母の放射能漏れや炉心の緊急停止が相次いでおり、最近では原潜ヒューストンが日本寄港時に十一回にわたって放射能を放出しました。

 五月二十二日、たばこの不始末と海軍規則に反して置かれた可燃性液体によるG・ワシントン艦内の大火災で、乗組員の「質」も明るみになりました。複数の乗組員が、米国内での殺人事件への関与も疑われています。

 米太平洋艦隊は、G・ワシントン配備を機に、火災の事故報告書を公表する意向を示していましたが、いまだに公表していません。

 中曽根弘文外相は、就任翌日の初仕事の一つとして、G・ワシントンの横須賀配備を「日本政府として心から歓迎する」とのメッセージを寄せました。

 偽りを積み重ねて横須賀基地の空母母港「恒久化」を進め、さらに米国が訴える根拠なき「安全性」。これをうのみにする自民党政治の転換が今こそ求められています。(竹下岳)

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