2008年9月25日(木)「しんぶん赤旗」

主張

麻生政権発足

国政問題の徹底論議は不可欠


 福田内閣の辞職が正式に決まり、自民・公明に推された麻生太郎自民党総裁が新しい首相に就任して、新内閣が発足しました。

 安倍晋三、福田康夫と二代の内閣が国民の審判を経ないで政権を続けた異常さに照らしても、新内閣が解散・総選挙で国民の審判を受けるのは当然です。しかし、そのためには、臨時国会で国政の基本問題を徹底論議し、争点を明らかにして実施すべきです。

議論すべき課題は山積

 政府の調査でも「生活が苦しい」と訴える国民が増え、六割近くになっているように、いま緊急に解決を求められる国民の暮らしに直結した問題が山積しています。景気の低迷が深刻になり、原油・食料の急騰が生活を直撃しているだけでなく、アメリカを震源地とした国際的な金融不安が日本経済を揺さぶっています。

 とりわけ、輸入米など汚染したコメが不正に転売され、学校給食や病院でも使われていた問題は「食の安全」にかかわる重大問題です。捜査当局も強制捜査に着手しましたが、悪徳業者や農水省の責任とともに、必要のないコメを大量に輸入してきた自民党農政の責任にまで踏み込んで、国会で徹底論議することは不可欠です。

 七十五歳以上のお年寄りを差別する「後期高齢者医療制度」の問題では十月十五日から新たに六百万人以上が年金から保険料を天引きされようとしています。労働者派遣法を抜本改正し、不安定雇用を改善することは、待ったなしの課題です。

 重要なのは、景気の低迷や「食の安全」の問題に緊急に手を打つためにも、なぜこれらの問題が起きているのか、解決のためには何が必要かを、国民の前で徹底して議論することです。

 日本経済が、原油や食料の急騰に直撃され、金融不安によっても脅かされている根本には、もともと弱肉強食の「構造改革」路線によって大企業のもうけだけを増やし、不安定雇用や負担増を国民に押し付けて暮らしを悪化させ、貧困と格差も拡大しているという、ゆがみがあります。国内需要の六割を占める個人消費が落ち込んでいるために、日本経済は海外の動向に左右されやすい脆弱(ぜいじゃく)な構造になっているのです。

 こうした経済を立て直すには、経済政策の軸足を大企業から家計と内需に転換していくことが不可欠です。大企業のもうけ最優先の政治をたださなければ、国民生活の不安も、雇用や社会保障の問題も解決しません。総選挙に向けた臨時国会で景気問題を議論するというなら、こうした根本問題をこそ徹底して議論し、争点を鮮明にすべきです。

主権者の審判に判断材料

 新しく首相に選ばれた麻生氏は、小泉純一郎政権以来の「構造改革」路線の推進者であり、消費税の10%への引き上げなどを公言してきました。総裁選中は「日本経済は全治三年」などと「景気対策」を口にしてきましたが、「構造改革」路線への反省も、行き詰まりの打開策も示していません。

 選挙は国民が主権者としての権利を行使する、もっとも大切な機会です。直面する国政の基本問題についての論議をつくさず、国民に十分な判断材料を示さないまま総選挙を強行するのは、主権者の権利をないがしろにするものです。


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