2008年9月23日(火)「しんぶん赤旗」

主張

自民党新総裁選出

麻生氏で行き詰まり深く


 福田康夫首相の政権投げ出しを受けた自民党総裁選挙で、麻生太郎幹事長が新しい総裁に選出されました。二十四日から始まる臨時国会で、首相指名を争います。

 麻生氏は小泉純一郎政権で総務相や外相を務め、安倍晋三政権でも自民党幹事長を務めた人物です。今回総裁選に立候補した五人の中でも、小泉政権いらいの弱肉強食の「構造改革」路線とアメリカいいなりで憲法違反の海外派兵を強行した政治の、最大の共犯者です。麻生氏に、いまの行き詰まった自民党政治を立て直すことなど期待する余地は全くありません。

反省も、具体策もなく

 それにしても、NHKなどが大騒ぎしただけで、国民が直面する暮らしの問題をどう解決するかの具体的な論戦の全くない、盛り上がりを欠いた総裁選でした。どの候補が選出されても、二人の首相が続いて政権を投げ出したいまの自民党に政権を担当する能力がないことが浮き彫りにされました。

 麻生氏は、「すぐる十二年、四千日になんなんとする期間、私は大臣として内閣の一翼を担い、党にあっては要職について国家運営の任に当たった」(立会演説)と自慢しています。その結果、自民党政治が行き詰まってしまったことへの自覚も反省もみられません。

 麻生氏は、「日本経済はいま、全治三年」とくりかえします。しかし、日本経済が大変なのは、大企業のもうけしか考えない「構造改革」路線によって貧困と格差が拡大し、経済そのものが悪化したためです。「全治何年」かはともかく、日本経済を重症に陥れた責任は麻生氏にもあります。その麻生氏が、「構造改革」路線が柱にした民間任せの政治や、「規制緩和」を続けようとしているのは、麻生氏の反省のなさを示すものです。

 麻生氏は「積極財政論者」を自任し、「景気対策を最優先に」といいますが、その「対策」の中身は「設備投資をすれば減価償却などが前倒しできるようにする」とか、「海外でかせいだ金を持ち帰ったときには税金をかけない」などというものです。これらはすべて、大企業や大金持ちをもっと優遇しようということにつきます。

 いま経済政策に求められているのは、大企業のもうけ応援の政治から、国民の暮らしを応援する政治に軸足を移し、雇用を確保し、社会保障なども充実して、暮らしをよくしていくことです。国民の暮らしがよくなれば消費も増え、経済も回復します。政治の行き詰まりに反省がないだけでなく、具体的な政策でも、対策を示すことのできない麻生氏では、何年かけても行き詰まりの打開などできないことは明らかです。

破たん認めるなら中止を

 麻生氏は総裁選の終盤になってあわてて、社会保障費を毎年二千二百億円削減するのは「凍結」するとか、七十五歳以上の老人を差別する「後期高齢者医療制度」は「見直す」などといい始めました。これまでの政治の破たんを自ら証明するものですが、破たんを認めるなら、社会保障費削減路線や高齢者差別を直ちにやめるべきです。

 大企業本位・アメリカいいなりの政治を根本的に転換しない限り、政治の行き詰まりは打開できません。政治の中身を大本から変えることこそが、国民の暮らしと日本にとっていよいよ急務となっていることは明らかです。


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