2008年9月22日(月)「しんぶん赤旗」

ゆうPRESS

本気で変えるゾ

青年使い捨てニッポン

集まれ! 10・5大集会


 ガチ(本気)で変えたい“青年使い捨てニッポン”―。10月5日、東京・明治公園で開かれる「全国青年大集会2008」を大成功させたいと、全国各地で青年たちが、宣伝や集会、映画「蟹工船」上映会などに一生懸命です。9月15日にプレ企画の集会を成功させた埼玉県では―。


埼玉では

仕事中の事故で意識不明に。動けないのに「早く出て来い」

 埼玉青年集会は「つながる かえる ガチ☆トーク」と題して行われ、100人を超える青年が参加しました。集会では青年や家族が厳しい労働の実態を訴えました。

 「本当にひどい働き方で、人間扱いされなかった」。こう切り出したのはAさん(30)です。ある木材会社では、タイムカードもなく、朝7時から深夜の1時まで働かされることもありました。

 ある日、トラックからベニヤ板を移動させていると、立て掛けてあったベニヤ板が倒れてきてAさんは転倒。頭から大出血して一時、意識不明におちいり入院しました。ところが会社からは「早く出て来い。いつまで休んでいるんだ!」と怒鳴られたといいます。Aさんはこの木材会社を3年で退職しました。

かつての自分

 ひどい労働条件で苦しむ青年を見ると「かつての自分を見ているよう」と話すAさん。集会へ向けて宣伝などに取り組んでいます。「青年が人間らしく働け、まともに生活ができるために、できることからがんばっていきたい」と力強く発言しました。

 集会には、2000年に27歳の息子を過労死で亡くした両親も参加し、息子を思う親の心情を切々と語りました。現在、両親は会社に対し損害賠償を求めて裁判をたたかっています。労災を認めていない国に対しても訴訟を起こす予定です。

 「息子は厳しい労働実態の中で疲労困ぱいして亡くなりました。人間の尊厳さえも侵害されるような働かされ方の中から過労死がつくり出されています」と話し、裁判への支援を訴えました。

切実な実態が

 「郵送やファクスでアンケート(埼玉青年☆働く実態アンケート)が戻ってくるんです。これはかつてなかったことです」。こう話すのは、日本民主青年同盟の小久保剛志埼玉県委員長です。埼玉では、県内10地区中、9地区で10・5大集会実行委員会が結成されています。

 県では、アンケートに記入された実態や思いを「みんなの一言集」として冊子にまとめました。「明日で仕事をやめる」など切実な声が、1カ月で約150人から寄せられました。(別項)

職場で声かけ

 「50人乗りのバスをいっぱいにしよう」と取り組んでいるのは、熊谷市などを中心とした北部地区です。集会実行委員長の飯島可奈さん(24)は、「まずは自分の周囲から」と、職場の仲間に声をかけています。プラカード係、横断幕係、宣伝係などの「係」をつくり、分担することで意識を高めて集会に参加できるよう工夫しています。

 埼玉では集会に1000人参加することを目標に取り組んでいます。小久保委員長は、「地域で取り組んでいるアンケートを集め、集会に青年の実態と『声』を持ち寄りたい。集会を契機に、正社員も非正規も『使い捨て』にされている今の社会を変えていきたいですね」と決意を語りました。


埼玉「みんなの一言集」から

交通費1円も出ない

 社会保険に入れてもらえず、月3万円もかかる交通費も会社からは1円も出ない。時給は900円で、社員とバイトの境界線がまったくなく働いている。(27歳 女性 アルバイト)

自営業者も極限です

 自営する人も、今は極限まで追い詰められています。いつネットカフェ生活になるか分からない。(33歳 男性 看板製造の自営)

結婚に踏み切れない

 今の仕事を続けたいが、出産の後、職場に今と同じ条件で復帰するのは難しいと思う。付き合っている彼との結婚に踏み切れずにいる。(27歳 女性 正社員)

残業代で食いつなぐ

 残業が多い。定時で帰って本を読んだり体を動かしたりしたいが疲れてそれどころではない。残業代がなければ20万円をきってしまい、生活できない。(28歳 男性 正社員)

明日で仕事辞めます

 明日で仕事やめる。上司と合わなかった。上司も自分と同じくらい若い人だった。(20歳 男性 正社員)

入社8日で首切りに

 新しく入った会社では、8日で首を切られてしまいました。ショックで許せないと思いました。(27歳 女性 求職中)

 10・5大集会に向けたプレ企画や映画「蟹工船」上映会など、全国のイベント情報は、民青同盟のホームページ(http://www.dylj.or.jp/)で見ることができます。


お悩みHunter

漫画家への夢 親に言えない

  母と2人で暮らす専門学校生です。「就職に有利だから」と母の勧めもあって、今年春、簿記の専門学校に進みました。でも、本当はプロの漫画家になりたくて、学校の勉強に身が入りません。だけど、毎日働いて高い学費を払ってくれている母に「学校を辞めて漫画家になりたい」と言えなくて…。(19歳、女性)

覚悟の上の説得か“長期戦”か

  「プロの漫画家になりたい」という気持ちを抱えながらの簿記の勉強。身が入らないのも当然です。

 でも、一生懸命働き、専門学校の高い学費を払ってくれるお母さん。そんな姿を目の前にしては、自分の本心を言い出せないあなた。本当に優しい方ですね。

 あなたが簿記の勉強を始めたのも、きっと、漫画家への道が生易しくはないことを、あなた自身が一番わかっているからでしょう。

 しかし、どんなにわかっていても、どうしようもない激しい葛藤(かっとう)にさいなまれているのではないでしょうか。

 確かに、プロへの道は大変です。

 あなたと同じような夢を抱く人たちが、世の中にはたくさんいるからです。

 たとえ運よく連載などを持てたとしても、少しでも人気が落ちれば、すぐに打ち切りという厳しさです。

 ただ、どんなに著名な人でも、最初はこのような下積みの辛酸をなめて、今日を築いていることも事実です。

 ですから、お母さんを説得してみるのも一つかもしれません。ただし、親の援助は一切受けない覚悟が必要でしょう。

 そうでなければ、とりあえずは生活のために今の勉強も大切にしながら、その先に夢を掲げて、長期戦の構えをとるかのどちらかでしょう。

 この迷いも、あなたを奥深い人間として成長させるための一つの試練と受け止めてみませんか。


教育評論家 尾木 直樹さん

 法政大学キャリアデザイン学部教授。中高22年間の教員経験を生かし、調査研究、全国での講演活動等に取り組む。著書多数。



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