2008年9月21日(日)「しんぶん赤旗」

主張

汚染米転売

自民農政の責任にこそメスを


 汚染米の不正転売問題は底知れない広がりをみせています。残留農薬やカビ毒に汚染された輸入米などが、保育園や学校、病院、福祉施設で給食に使われ、おにぎりとしてコンビニで販売されたことが次々に明らかになっています。国民を不安に陥れているだけでなく、偽装されたコメを知らずに取り扱った業者が経営に打撃を受けるなど、問題は深刻です。

大臣辞任で終わらぬ

 汚染米問題は、太田誠一農水相と白須敏朗農水事務次官のいっせい辞任にも発展しました。問題が広がる中、太田農水相は「じたばた騒いでいない」、白須次官は「農水省に責任があるとは考えていない」と発言していました。国民の安全に背を向けた二人の辞任は当然です。

 しかし、これで政府の責任が明らかになったわけではなく、問題は解決していません。不正に転売した三笠フーズなど一部業者やそれを見逃してきた農水省の責任は明らかですが、食の安全をないがしろにする土壌を、自民党農政自身がつくりだしてきたことを厳しく問わなければなりません。

 転売された汚染米の約八割は輸入米でした。汚染米と知りながら輸入したのも、工業用のりなどへの需要がほとんどないにもかかわらず「非食用」を建前に食品加工業者に流通させたのも、農水省の責任です。

 政府は一九九三年のウルグアイ・ラウンド(多国間通商交渉)で、米国などの圧力に屈してミニマムアクセス(最低輸入機会=MA)米の輸入を受け入れ、九五年度いらい計八百五十万トン以上も輸入してきました。そのうち一万七百二十八トン(日本共産党紙智子参院議員調べ)は汚染米でした。

 コメは自給できるのに、無理を承知で不要なMA米を輸入し続けてきた政府に大きな責任があります。今回の事態で、農水省は汚染米を輸出国に返品すると決めました。返品は当然ですが、それにとどまらず、国際的義務のようにいってMA米の輸入を続けること自体をきっぱり中止すべきです。

 積み上がった輸入米の早急な処分を迫られた農水省側が、業者に汚染米の買い取りを働きかけていました。農水省がコメを輸入し続けその売却を優先する限り、流通への監督は期待できません。

 汚染米の流通経路は農水省もつかみきれておらず、全容解明にはほど遠い状態です。仲介業者を幾重にも通じるなど、複雑な流通経路が浮かび上がり、国民を驚かせています。伝票で動かすだけのブローカーやペーパー会社もあり、汚染米を食用に偽装したり、価格つり上げにかかわっていました。

規制緩和が背景に

 コメの流通が複雑化したのは、自民党政府が進めた規制緩和に大きな要因があります。小泉政権は二〇〇四年に売買業者を登録制から届け出制に変え、規制を完全に撤廃しました。コメ売買にだれでも参入できるようにしたことが、悪質業者の横行を許したのです。

 外国産米の輸入を続け、その流通を規制緩和でゆがめてきた自民農政の責任が明らかな以上、汚染米販売問題を業界の責任や大臣の首のすげ替えですますことは許されません。コメの貿易と流通を自由化する政策を根本的に見直し、食の安全に責任を果たす体制を築いていくことが急務です。



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