2008年9月21日(日)「しんぶん赤旗」

10・15天引きショック

年金から新たに625万人

後期高齢者医療・国保


 政府は後期高齢者医療制度などで、十月十五日に、最大千五百万人の高齢者を対象に保険料の年金天引きを強行しようとしています。「終戦の日」に天引きを実施した「8・15ショック」以上の「10・15ショック」が日本列島を襲い、国民の怒りが広がるのは必至です。


 前回(八月十五日)までの三回の天引きの対象者は、約八百八十万人でした。今回は、これまで保険料負担がなかったサラリーマンの扶養家族など、対象者が一気に約六百二十五万人増加します(表)。四月からの実施を見送っていた二十九市区町村=2面に表=(約九十万人)でも天引きが始まり、該当者はほぼ全員が保険料を年金から引かれることになります。

 組合健康保険などに加入しているサラリーマンの子らに扶養されている七十五歳以上の人(約二百万人)は、初めて保険料負担を強いられます。この人たちは、後期高齢者医療制度が始まるまでは保険料を負担してきませんでしたが、「負担の公平性」を口実に容赦なく取り立てられます。政府は当面、本来の保険料額の一割に「軽減」する方針ですが、その後は重い負担となってのしかかってきます。

 企業などで働いていて、健保本人だった七十五歳以上の人(約三十五万人)の場合、三月まで保険料負担は事業主と折半でした。しかし後期高齢者医療制度では、事業主負担がなくなるため、全額本人の負担となります。

 六十五―七十四歳の人(約三百万人)は、九割以上の市区町村で重い国保料の天引きが実施されます。

ダブルパンチ 何も残らない

渦巻く怒り

 岐阜県大垣市の会社員(56)は同居している母(79)を健康保険の扶養家族にしてきました。「保険料の通知はまだ来ていませんが介護保険料も年2万8千円上がり、ずいぶん年金額がへりました。また天引きがはじまればダブルパンチです」と話します。

 母親は「保険証も別になり、残る年金はほんのちょっぴり」と怒ります。

 8月末に市役所から国民健康保険料の年金天引きを知らせる通知が来た埼玉県熊谷市の男性(74)は「何もかも年金から差っ引かれて腹立たしい」と怒ります。

 市町村合併で国保料は年々上昇。ことしは昨年より年額約6万円上がりました。

 「天引きされると痛みがわかりません。確認するためにこれまで面倒でも納付書で支払っていました。了解を得ていないのに人の懐に手をつっこんでとっていくのはひどい。地域の敬老会でもみんな『年金しか収入がないのに何もかも引かれてあとに残らない』と怒っています」と話します。

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