2008年9月20日(土)「しんぶん赤旗」

商品から金への「命がけの飛躍」とは?


 〈問い〉 先日のNHKTVで爆笑問題の「爆問学問」でマルクスの言葉として、「商品から金(きん)への飛躍は命がけの飛躍である」という言葉が紹介されていました。これはどういう意味ですか?(大阪・一読者)

 〈答え〉 商品の「命がけの飛躍」という言葉は、『経済学批判』(1859年)や『資本論』(1867年)に登場します。マルクスは、市場経済のなかで商品がどのように販売され、流通していくかを、「W(商品)―G(貨幣)―W(商品)」という図式で表しました。

 この第一の転化(W―G、商品の販売)について、マルクスは、次のように述べました。

 「商品価値が商品のからだから金(きん)のからだに飛び移ることは……商品の“命がけの飛躍”である。この飛躍に失敗すれば、なるほど商品は打撃を受けないかもしれないが、商品所有者は確かに打撃を受ける」(新日本新書『資本論』(1)180〜181ページ)

 つまり、商品を生産するときには、だれもが自分のつくった商品は売れると思って生産します。しかし、その商品が本当に売れるかどうかは、それを市場に出して、実際に売れるまで、分かりません。ひょっとしたら、その商品は売れ残るかもしれず、そうなれば、その生産者はお金(かね)を手に入れることができません。

 とくに資本主義経済のもとでは、資本家・企業は、もっと大きなもうけを手にしようとして、どんどん生産を拡大してゆきます。その結果、商品が過剰に生産され、景気の過熱、バブルが発生します。そして、なにかのきっかけでバブルがはじけると、突然商品が売れなくなり、恐慌を迎えます。このとき、自分の商品が売れるかどうかは、資本家・企業にとって文字どおり死活にかかわる大問題になります。このことを、マルクスは「命がけの飛躍」という言葉で表しました。

 なお、マルクスの時代は、貨幣=金(きん)だったので、先ほどの引用でも、マルクスは、商品から貨幣への転化という意味で、「金(きん)のからだに飛び移る」と書いています。(学)

 〔2008・9・20(土)〕


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