2008年9月6日(土)「しんぶん赤旗」

主張

08年版防衛白書

派兵強化は平和の流れに逆行


 防衛省は二〇〇八年版「防衛白書」を公表しました。一九七〇年いらい三十四回目となります。

 今回の白書の特徴は、海外派兵の「実績」をふまえ、国際紛争に対して「実効的に対応できる防衛力も必要」と強調していることです。イラクやインド洋など海外での軍事活動をいっそう強化する構えです。日本を海外で戦争できる国にする動きの強まりであり、警戒が必要です。

「実効的対応」の意味

 白書は、インド洋で自衛隊が米艦船などに行っている給油支援を、「わが国に相応(ふさわ)しい貢献」「資源の多くを中東地域に依存するわが国の国益にも資する」とのべています。

 自衛隊の給油支援活動は、攻撃とテロの悪循環のもとで民間人の犠牲を激増させているアメリカのアフガニスタン「報復」戦争の一部です。新テロ特措法の延長に日本国民が反対し、延長法案が廃案となる可能性も強まっているのに、防衛省が延長を前提に、給油支援が必要というのは問題です。

 国際テロ、大量破壊兵器や弾道ミサイルなどの拡散・移転などの「新たな脅威や多様な事態へ実効的に対応できる防衛力も必要」と一歩踏み込んだ言い方をしていることは、さらに重大です。

 米軍兵士や軍事物資を空輸している空自のC130輸送機は、地対空ミサイルを避けるためのフレア(おとりの熱源体)を発射しながら、戦場であるバグダッド空港を離着陸しています。防衛省が来年度概算要求で、フレアを装備したCH47輸送ヘリ四機を調達するとともに、保有しているCH47に防弾板を装着するのも、全土が戦場化しているアフガニスタン本土への派兵を想定してのことです。白書は、こうした海外で戦争できる能力の強化を狙っています。

 自衛隊のイラク派兵差し止め訴訟で名古屋高裁は、空自が米軍兵士と軍事物資を戦場であるバグダッドに空輸するのは、憲法にもイラク特措法にも違反するとの判決を言い渡しました(四月)。白書は確定判決になった名古屋高裁判決を黙殺していますが、白書が狙っている方向は、憲法違反の状態をさらに強めることになります。

 白書は、日米両政府が合意した「世界の中の日米同盟」(〇三年の日米首脳会談)や「世界とアジアのための日米同盟」(〇六年の日米首脳会談)をもちだし、米先制攻撃戦略にもとづく戦争の支援強化を正当化する論拠にしています。日米同盟を侵略的に強化・拡大し、自衛隊が海外の戦場での軍事活動を強化するのは、紛争を戦争ではなく平和的・外交的手段で解決するという平和の流れに反します。

世界の変化を見よ

 白書は、世界の平和のとりくみ、とりわけ、日本も加盟した「紛争の平和的手段による解決」などの原則をもち、ユーラシア大陸全体にも広がってきている東南アジア友好協力条約(七六年)を無視しています。北朝鮮をめぐる六カ国協議の動きや中国との「戦略的互恵関係」の約束があるのを無視して、両国の軍事動向を「今後も注目する」というのも道理がありません。これではまともな国際関係ができるはずはありません。

 政府はアメリカいいなりの軍事力中心主義をやめて、世界とアジアの平和の流れに合流すべきです。



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