2008年8月26日(火)「しんぶん赤旗」

政管健保 10月から改悪

都道府県で保険料に格差


 中小企業の従業員などが加入する政府管掌健康保険(政管健保)が十月一日、国の運営から切り離され、「全国健康保険協会(協会けんぽ)」の運営に移行する計画がすすめられています。

 新しい体制では、現在の全国一体の運営から、都道府県ごとの運営に変更。都道府県によって保険料率が異なる仕組みを導入するなど、加入者に大きな影響を与える制度改悪となります。

 現在の政管健保は約三千六百万人が加入する日本最大の健康保険です。国(社会保険庁)の責任で運営しています。

国の責任後退

 十月からは、新たに設立される非公務員型の公法人「協会けんぽ」の運営に変わります。実際には、都道府県ごとにつくられる協会の支部が「地域の実情を踏まえ事業を実施」するとしています。これは、中小企業の従業員と家族の入る健康保険にたいする政府の責任を大きく後退させるものです。

 この改悪は、後期高齢者医療制度の導入といっしょに、二〇〇六年の医療改悪法に盛り込まれ、自民・公明の与党の賛成多数で強行しました。

抑制競わせる

 制度改悪で大きく変わるのは加入者(被保険者)が支払う保険料率です。現在は、全国一律の保険料で収入の8・2%(これを労使折半)で、一年間は変わりません。しかし、〇九年秋からは、「地域の医療費を反映する」として、都道府県ごとに保険料を設定できることにしました。

 厚生労働省が〇三年度の医療費の実績をもとに試算したところ、最高は北海道8・7%、最低は長野県7・6%と大きな「格差」が生まれました。(上表)

 しかも、保険料率の上限を9・1%から10%まで引き上げました。厚労省は10%になると、保険料は年間七万円もアップし、約三十八万五千円になることを認めました。

 制度改悪の最大の狙いは、「医療費抑制」を都道府県ごとで競わせることです。“他の県より医療費がかかるのは問題だ”“保険料が上がるから、できるだけ医療費をかけないように”として、必要な医療の切り捨てにつながります。

 しかも実施まで一カ月程度となったのに、後期高齢者医療制度の導入前と同様に、国民に制度変更をほとんど知らせていません。

 保険料アップか、安上がりの医療か―の二者択一を国民に迫る重大な制度改悪を実施することは許されません。(宮沢毅)

表


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