2008年8月20日(水)「しんぶん赤旗」
安全な研修会再開を
大日岳事故遺族 登山研修所に要請
2000年3月に北アルプス大日岳で、国が主催する大学山岳部リーダー冬山研修会に参加して事故に遭い死亡した2人の学生の遺族が19日、富山県立山町の文部科学省登山研修所を訪れ、事故の教訓を明らかにした上で冬山研修会を再開するよう要望しました。
同事故は講師がルートを誤って不安定な雪庇(せっぴ)の上に誘導したことが原因でした。国の責任をめぐって争われた裁判では、控訴審で遺族側の主張を全面的に受け入れた和解が成立。国は和解で約束した冬山研修会の安全策を講じる安全検討会を開き、安全対策や指導方法を文章(シラバス)にまとめて講師や研修参加者らに徹底することなどを盛り込んだ報告書を、今月初旬にまとめました。
今回の訪問は、研修所が安全策を具体化する上で遺族の思いを伝えるためのもの。内藤万佐代さん(61)は「検討会では、なぜ講師が判断を誤ったかは分からないままだった。どこに過ちがあったのかはっきりさせてから研修会を再開してほしい」と話し、溝上洋子さん(53)は「原点を明らかにすることで初めて事故は防げる。(事故は不可抗力とした)文科省の事故調査報告書が訂正されるようなシラバスをつくってもらいたい」と訴えました。
登山研修所の長登健所長は、早ければ来年度から冬山研修会を再開したい考えを伝え、「安全に再開できるよう報告書の提言を一つずつ積み上げて作業していきたい」と答えました。

