2008年8月20日(水)「しんぶん赤旗」

主張

教育のつどい2008

憲法にもとづく教育の展望を


 「未来をひらく教育のつどい―教育研究全国集会二〇〇八」が二十一日から四日間、京都市で開かれます。全国から教職員、保護者、子ども、研究者、市民が集い、教育について語りあい、考えあう貴重な場です。

子の困難に寄り添い

 いま、「貧困と格差の拡大」が子どもと教育に暗い影をなげかけ、ネット社会やケータイ、商業主義的文化などによるさまざまな問題もうまれています。そうした中で、子どもの成長を支える全国の豊かな教育実践が交流されることは、たいへん重要です。

 何かあると暴れて手に負えない、注意するとすごい形相で教室の壁をけり続ける。そんな小学生たちと接する小学校の先生は「わたしは、『死ね!』という子どもの言葉の裏側に『先生、わたし、しんどいのよ。何とかしてよ!』と言っているように聞こえる」と言います。

 ある中学校の教員は「最近、子どもの否定的な面ばかり強調する論議が多すぎないか。生徒の中には脈々と『かしこくなりたい』『友だちがほしい』『優しい人間になりたい』などの要求がある。ここに確信を持ちたい」と語ります。

 教育現場に足を運ぶ研究者は「子どもの不安定な姿を、『だらしない』と見るのではなく、不安定な社会への子どもの反応だと理解し、そこから教育の実践方向を見いだす。そんな流れが着実にひろがっている」と指摘します。

 子どもをとりまく環境が深刻なときだけに、子どもの周りにいる人々が支えあうことが切実に求められています。

 しかし、弱肉強食や「自己責任」論の風潮の中で、おとな自身が手を結びづらい状況に追い込まれています。教育懇談会や参加型の学校運営など、垣根を低くして先生や保護者らの連帯をつくりだしている、全国の経験の交流に期待があつまります。

 自公政権は、教育基本法の改悪にもとづき、「全国いっせい学力テスト」、教育関連法の改悪、特定の「愛国心」を上から押しつけるような学習指導要領の改定などを強行してきました。さらに教員リストラ、学校統廃合など教育条件の劣化がたくらまれています。

 こうしたさまざまな攻撃にたいして、各地で教育を守るとりくみが地道に続けられています。「つどい」は、そうした教職員、保護者らの実践を交流し、明日への活力をつちかう場です。

 政府・財界による「教育改革」は、教育現場に幾多の矛盾をもたらしています。その弊害を明らかにし、打開の方向が討論されることには大きな意義があります。

 社会の潮目は変わりつつあります。「憲法九条を守れ」が国民世論の多数派となり、若者を中心に「蟹工船」ブームがおきています。政府・財界の「教育改革」の奥底にある、「戦争できる国」と「弱肉強食の経済社会」づくりにたいして、国民の抵抗がはじまっています。

多くの人の参加を

 広範な国民と力をあわせ、偽りの「教育改革」を打ち破り、子どもの成長と発達を中心にすえた、憲法と子どもの権利条約にもとづく教育の改革をすすめましょう。

 「教育のつどい」に多くの人が参加し、実り多い話し合いが行われることを心から期待します。


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