2008年8月19日(火)「しんぶん赤旗」

サンマ一斉休漁

燃油高騰 沖に行けない

国に打開策要求


 漁業用燃料の高騰で「このままでは漁に出られない」と窮状を訴え、全国さんま棒受網漁業協同組合と道東小型さんま漁業協議会に所属する約二百三十隻は十八日、いっせい休漁を行い、政府に打開策を求めました。七月十五日に全国約二十万隻がいっせい休漁したときには操業解禁前だったサンマ棒受け網漁も、本格解禁を受けてアピールに加わりました。(田代正則)


集魚灯も影響

 北海道釧路市には、道内ほか東北各県、千葉県などからサンマ漁船八十八隻が集結。漁業用岸壁のほか、釧路川の両岸、商船用ふ頭の空きスペースまでぎっしり埋めました。

 海霧のかかった早朝の釧路港。十七日までに出港していたサンマ漁船が続々と帰港し、休漁前の最後の水揚げを行いました。

 水揚げの順番を待っていた漁師(43)は、小型船による棒受け網漁が解禁された五日、福島県いわき市を出航しました。三カ月半の間、釧路でサンマ漁をします。

 「漁場に着くまでは低速運転で省エネに気遣うけど、魚群を追うときは、そんなこと言っていられない。大変だっぺ」

 集魚灯を使う棒受け網漁は、光に集まる習性をもつサンマを大量に捕まえ、魚体を傷つけない利点があります。しかし集魚灯に大量の燃油を使用するため、原油高騰の影響をもろに受けています。

 「イカの漁火(いさりび)と一緒だ。ほんと苦しいよ」と根本さん。出漁回数は、まだ三回です。

 「こんなに燃油の値段が上がったら、ストをして休むしかない」

基幹産業守れ

 宮城県から来た男性(60)も「いつもならバンバン漁に出ているけど、今年はまだ四回だけだ」と言います。

 「今年は水温が高くて、サンマが沖の遠くにいる。燃油が高くてそこまで行けない。まるっきりダメだわ」

 十八日が操業の解禁だった百トン以上の大型船。いっせい休漁で岸壁に数珠つなぎに停泊しています。

 中学を卒業して漁師になった一六〇トンの大型漁船の船長(35)は「まだ出漁してないから、どれだけ取れるか分からないね」

 集魚灯経費は深刻ですが、「あまり光を落とすと、サンマが取れなくなるからなぁ」とため息をつきました。

 サンマは昨年度、釧路市の漁獲量の三割を占め、八月だけでは66%に達しました。

 釧路市水産農林部の折原恒次長は「漁業はただ魚を取るだけでなく、加工、運送とすそ野が広い市の基幹産業です。何としても漁業を守らないといけない」と強調します。

 政府が七月末に打ち出した緊急支援策については、「漁業者は、省エネ対策は昨年以前から始めています。いつの段階を基準に省エネを認めてくれるのか。支援対象となる五人以上のグループの定義など、漁業者が使えるようにしてほしい」と話していました。



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